イスラエル擁護の日本人ビジネス関係者、コンプラ無視でリスクの塊
(last modified Thu, 21 Dec 2023 14:15:45 GMT )
12月 21, 2023 23:15 Asia/Tokyo
  • イスラエル
    イスラエル

SNS上でイスラエル擁護を繰り返す日本人アカウントの中には、イスラエルをビジネスの拠点としている人物も複数います。しかし、その発言を追うと、デマや他責思考、ヘイトのオンパレードで、コンプライアンスが求められる昨今のビジネスルールからはかけ離れています。

高澤有紀氏@TakazawaYuki)は、Web広告会社「ADOYOSU」(adoyosu.com)を経営する実業家です。プロフィールではヘブライ大学大学院卒としており、X上の投稿は10月7日以降、ほぼイスラエル擁護の内容で埋め尽くされています。

ただし、その内容は雑なデマとヘイトです。今月1日には、イスラエル軍がガザ住民に対して南部へ避難を促すビラをまき、民間人の犠牲を最小限にする努力をしていると投稿しています。しかし、その後イスラエル軍が公然とガザ南部を空爆したことは周知の事実です。

高澤有紀氏の投稿

 

また、21日の投稿では、イスラム教徒の女性ヒジャブを被る意義を語った動画を引用し、「意識高めなご意見です」などと揶揄しています。この動画はイスラエルとハマスの戦争とは何の関係もなく、ただ単にこの女性から見たヒジャブのメリットを語っているにすぎません。高澤氏が現在のガザ情勢の有無とは関係ないところでイスラムに対するヘイト思想を持っていることを吐露した形です。

高澤有紀氏の投稿

ベハール美里氏@sibubu_nakamoto)は、シオニストの元配偶者を持ち、自らデザインした陶器を生産・販売しています。彼女は19日の投稿で、UNRWA・国連パレスチナ難民救済事業機関が来年にも日本に拠点を開設する方針を示したニュースを取り上げ、「これはほぼハマスです 着実に浸蝕していきます ハマスが日本にやってきます 親ハマスの人たちも関係なく殺されます」と吹聴しました。

べハール美里氏の投稿

UNRWAがハマスと癒着しているというのはイスラエル支持者がよく取り上げるデマのひとつです。UNRWAがガザで運営する学校でテロを推奨する教育が行われている、UNRWA運営の病院がハマスの拠点になっているなど、その種類は枚挙に暇がありません。

ベハール氏の投稿はそのデマをさらに醜悪にしたもので、UNRWAをハマスと同一視し、日本でテロを起こすという流言を流しています。ベハール氏が引用した日本経済新聞の記事には、UNRWAがすでに米国とスペインに拠点を持っていることが書かれています。ベハール氏の論理が正しければ、この2カ国ですでにハマスによるテロが起きていてもおかしくありませんが、そういったニュースは存在しません。自分で引用した記事も確認せず、デマをばらまき恥じることがないのが、ベハール氏のようなアカウントの特徴でもあります。

中島直美氏は1996年からイスラエルに在住し、2017年にイスラエル進出を考える日本企業向けのコンサルタント会社「Tsomet」を設立。他にも、日本のIT企業「Insight Lab」の現地支部代表を務めています。

中島直美氏

彼女はXでハダルと名乗るアカウント(@HadarJP_IL)を運営し、イスラエル擁護のデマ・フェイクを拡散する代表格となっています。

ガザのシャファー病院がイスラエル軍により包囲されたことが問題となっていた先月16日には、「軍事基地でないなら降伏の印を出すこともできたはず」と意味不明な投稿をしています。戦闘員でない病院関係者がどう「降伏」するのか説明がつかない上、当時病院側からイスラエル軍への攻撃は一切ありませんでした。にもかかわらず、病院を包囲し、患者や医療スタッフを射撃していたのはイスラエル側です。

中島直美氏(ハダル)の投稿

直近の21日も「兵士と民間人と拉致被害者を見分けるために、自国の兵士を危険にさらす必要に迫られる国がイスラエル以外にあるだろうか?!」と投稿し、ハマスの捕虜となっていた3人がイスラエル軍による「誤射」で射殺された事件を擁護しました。

中島直美氏(ハダル)の投稿
新井均氏の投稿

ハマスが戦闘員と民間人の区別をつけなくさせているという言い分ですが、イスラエル軍はすでに10月7日の音楽祭でイスラエル市民をヘリで銃撃しているほか、先月30日にエルサレム市内でハマスメンバーによる銃乱射事件があった際も、駆け付けたイスラエル軍兵士がイスラエル市民を射殺しています。

中島氏はイスラエル軍を「悲劇の英雄」のように扱っていますが、同じような「誤射」が立て続けに起こっているのは、自らの構造的問題としか言えません。常にイスラエルが正しく、何か問題があればそれは他者のせい。この他責思考はイスラエル擁護アカウントに広くみられる特徴です。

新井均氏は、日本イスラエル商工会議所および日本イスラエル親善協会会員で、イスラエル企業向けに日本進出を支援するコンサルタント業務を行っているほか、カルト団体・キリストの幕屋系出版社ミルトスからイスラエル経済に関する書籍も出版しています。

新井氏は、Xアカウント(@mot95)で他のイスラエル擁護者に比べれば少ないものの、中島氏のような他責思考を披歴しています。イスラエルの度重なる国際法違反について11月10日の投稿で「どのように国際法を遵守しながら241名の人質を取り返すことができるのか」と投稿しています。

新井均氏の投稿

 

一方で、9月28日の投稿では、辺野古工事の承認を拒む沖縄県の玉城デニー知事に対して、「法を遵守しない政治家は犯罪者であり存在してはならない」と大口を叩いています。

民間人を平然と殺戮するイスラエルについては「国際法を遵守するのは難しい」と擁護しながら、法廷闘争に徹する県知事を「犯罪者」呼ばわりする矛盾には気づいていないようです。

新井均氏の投稿

新井氏は21日の投稿でも、不正が判明したダイハツについて「30年間事故や大きな問題がなかったなら、試験自体の必要性や基準を見直しても良い」と驚くべき発言をしています。

新井均氏の投稿

 

法令無視、二重基準、デマの拡散、自己正当化と他責思考、不都合な事実の無視。ここに挙げた人物のこうした特徴は、イスラエル・パレスチナどちらの立場に立つかとは関係なく、ビジネスに携わる者として致命的な欠陥であり、取引をしようと思う相手にとってはリスクでしかありません。

 


ラジオ日本語のソーシャルメディアもご覧ください。

Instagram     Twitter     urmediem