ウィーン協議最新動向;イラン代表団顧問、「曖昧さや抜け穴は受け入れない」
EUのボレル外務安全保障政策上級代表が核協議の進捗について懸念する見解を示したことを受け、イラン代表団顧問は「曖昧さや抜け穴を受け入れることはない」と強調し、さらに中国の公式メディアも、ウィーン協議の長期間の原因として、アメリカが横暴な行動を取り信頼できないことを挙げました。
ボレル上級代表は5日月曜、記者会見において、「核合意復活を目指すウィーン協議で合意に到る望みが、以前よりも減少した」と述べました。
続けて、「協議は合意成立間際ではあるものの、各見解は近づく代わりに互いに離れつつある」と主張しました。
ウィーン協議でイラン代表団の顧問を務めるマランディー氏はこれを受けて、ツイッターにおいて、「ボレル氏は米国の同盟国の人間であり、この協議が行われている理由が、西側による核合意の違反および、イランが完全に合意責務を履行していたにもかかわらずイラン国民を標的とした制裁が”最大の圧力”政策によって取られたことにあるのを、忘れているのだ」としました。
そして、「イランは、抜け穴やあいまいさを受け入れることはない。米国は、一連の代償・費用をEUに押し付けている」と続けました。
一方、中国国営新華社通信は、対イラン制裁解除を目指すウィーン協議を扱ったコラムにおいて、アメリカが「信用できない」ことを強調しました。
また、「米政府が1日木曜、2015年に成立した核合意の復活を目指す協議でイランが出した最新の回答は”非建設的”であると発表したことから、迫りつつある合意への楽観視は薄れつつある」と指摘ました。
さらに、「約1年半前の協議開始以来、様々な紆余曲折があったにもかかわらず、イラン側は依然として、米政府の約束とその継続性に対して、これまでに同政府が行ってきた好ましくない経歴から、ためらいを見せている」としました。
そして、「米国では、11月の議会中間選挙が近づく中、政治的分裂と党派間の争いが激化しており、共和党議員は、イランとの間で見込まれる核合意に対して攻撃を強めている.」と説明しました。
このほか、在ウィーン国際機関ロシア代表部のウリヤノフ代表も、「イランは、合意内の抜け穴やあいまいさを受け入れはしないだろう」と強調しています。
アメリカは2018年5月、国連安保理決議2231号に反して一方的に核合意から離脱し、イラン国民に対する制裁を再開しました。
欧州の合意参加諸国は、アメリカの離脱および対イラン制裁の再開後もこの合意に留まり、その実施を全面的に支援すると約束しましたが、全く行動に移されませんでした。
アメリカによるこの圧政的・一方的な諸制裁の解除を主軸とするウィーン協議の新ラウンドは、先月4日から8日にかけて開催され、協議の調整役であるエンリケ・モラ欧州対外行動庁事務次長により、一連の提案が提示されました。
イランは先月15日、核合意の完全実施再開への道筋を示したヨーロッパ側のこの提案文書に対する自らの返答を伝え、「米国が現実的かつ柔軟になれば、合意は成るだろう」と表明しています。
また今月2日には、イラン外務省のキャンアーニー報道官がその後の進展に関して、「米国側の回答を受け取った後、イランの専門家チームはそれを慎重に検討し、その回答を1日夜にモラ調整官に渡した」と発表しています。
アメリカ国務省のある関係者はこの件をめぐり、匿名を条件に「イランとの合意は、バイデン政権がとりうる最良の選択肢だ」と述べた上で、「我々は、イラン国内の核施設におけるウラン化合物の調査のためイランと協力することを強調している」としています。
一方、イラン代表団側は、「合意成立の必要条件は、制裁の恒久的な解除が何らかの形で保証されること、そしてこの問題が将来的に、イランに対する圧力手段として残されるべきではないということである」と表明しています。
イランが核合意で求めている点は、自国民の経済的利益の保証、イランの対外貿易の障害の解消、石油販売に対する違法な制限の撤廃を確実にすることです。
こうした点から、協議参加各国がイランの論理的な要求と持続的な合意形成の必要条件を受け入れれば、最終合意は成立することになります。