視点;アギーギー氏
反イラン的主張繰り返しながら関連協議拒むウクライナ
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アミールアブドッラーヒヤーン・イラン外相
アミールアブドッラーヒヤーン・イラン外相が、「ウクライナは、ロシアがイラン製無人機を使用したという自らの主張をめぐり開催されるはずだった新たな協議に、姿を見せなかった」と語りました。
日本政府関係者との会談のため東京を訪問しているアミールアブドッラーヒヤーン外相は、日本メディアに向けた記者会見で、「ウクライナでの戦争は解決手段にならない。イランとしては、交戦国双方の武装化に反対している」とし、さらに「我々は、いずれの交戦国に対しても戦争での使用を目的とした無人機の提供を行っていない」と述べました。
また、「ウクライナ外相とは、イランとウクライナ双方の軍関係者がオマーンで話し合いを行うことで合意した。しかし、その話し合いの場では、ウクライナ側から信頼に足る証拠資料が提出されることは一切なかった。そこで、ウクライナ側が自らの証拠資料を再度確認した上で、次の話し合いにおいてそれらの検討を行うことになった。我々は、次回話し合いの開催について繰り返し問い合わせたが、ウクライナ側は新たな話し合いの場に来ようとはしなかった」としました。
ウクライナ危機が勃発して以降、イランはロシアおよびウクライナとの友好関係を背景に、両国を外交ルートに立ち戻らせ見解相違を解消させることで、戦争継続を阻止しようと努めてきました。しかしウクライナは、米国や多くのヨーロッパ諸国と足並みをそろえて、ロシアがウクライナ戦争でイラン製無人機を使用したと主張し始めました。しかしもちろん、イラン外相が述べたように、ウクライナはこの主張について確固たる証拠を提出しておらず、この問題を議論する場にも出てこようとはしていません。
ネベンジャ・ロシア国連大使も、ウクライナ戦争におけるイラン製無人機の使用をめぐる主張を否定し、「これらの仮説は、一部の曖昧な情報に基づくものである。それらは、認識不能な無人機の残骸の画像を提示している。彼ら自身も、自分たちが提示している証拠についてよく理解していないようだ。問題は明白な事実とは何の関係もなく、政治的な話を提示しているということである」と語りました。
どうやら、この点での主張の繰り返し、およびウクライナ戦争でロシアが使用した無人機の残骸を示し、それがイラン製のものであるとするのは、イランとロシアに対する政治・経済的圧力の強化、また戦争の継続に向けたウクライナへの西側製兵器の送付を正当化することを目的としていると見られます。このことから、イランからの対ロシア武器支援という主張の繰り返しを受けて、米国はEU欧州連合、英国、ウクライナとともに、イランの無人機産業に関連する機関や個人に対して新たな制裁を行使しました。
事実無根の非難のもう一つの理由としては、イランとロシアの関係への影響も考えられます。イランとロシアの関係は近年加速しており、西側諸国はこの関係強化について繰り返し懸念を表明してきました。そのため、彼らは圧力と制裁の強化により、その結果としてイランとロシアの代償を増大させることで、両国関係のさらなる拡大を阻止しようとしているのです。
もう一つの重要な点は、西側諸国がウクライナへの軍事支援や武器送付の継続によりこの戦争の長期化の主犯とみなされている一方で、ウクライナが米国を含む一部の西側諸国と足並みをそろえて疑惑提示を繰り返しているということです。その一方で、イランはこの戦争に参戦していないだけでなく、紛争終結を支援し、ウクライナの主張を専門的に調査する用意があると常に宣言してきています。
アミールアブドッラーヒヤーン・イラン外相は7日月曜、この点について「昨年、私はウクライナ外相に対し、イラン製無人機使用に関する証拠資料があれば、それを我が国の軍当局に提出するよう個人的に要請した。我々は、イラン軍事代表団がポーランド首都ワルシャワを訪問し、この件に関してウクライナ軍当局者らと会談することでウクライナ外相と合意した。わが国の軍代表団ハワルシャワを訪問したが、ウクライナ側の代表団は協議に参加しなかった。私はウクライナ外相に電話し、ウクライナ側が自らの主張内容を裏付ける証拠書類を有しておらず、ウクライナ戦争でのイラン製無人機使用に関する疑惑提起は全くの虚偽であることを確信していると言った」と述べました。