イラン原子力庁長官、「制裁全廃までは現在のプロセスを継続」
イラン原子力庁のエスラーミー長官が、「我々は、制裁が完全に解除されるまでは現在のプロセスを続行する」と語りました。
IAEA国際原子力機関はこれまでに何度も、イランが核合意に定められた責務を順守していること、そして同国の核活動が平和目的であることを認めています。
イランはNPT核不拡散条約の署名国の一つとして、平和目的での核技術の獲得・利用の権利があることを常に強調しています。
イルナー通信によりますと、エスラーミー長官は13日水曜、閣議の傍らで「相手側が我が国との間に交わした核合意の義務を履行していないという事実により、イランも責務を縮小している」と述べました。
また、「彼ら(アメリカと西側)が義務を履行せず、制裁が完全に解除されない限り、我々は現在の(責務縮小)プロセスを継続する」としています。
さらに、「欧州諸国は、自ら政務を一切履行していない中、イランが核合意を完全に履行することを期待してはならない」と語りました。
そして、次回のIAEA理事会の成り行きについても「現在の成り行きは、イランに断固たる法的対応を強いるような動きや決議採択に向かうことを示しているわけではない」としています。
米国、EU、英独仏の欧州3カ国の代表は12日火曜、IAEA理事会の会合で、イランの核開発に対する主張を繰り返し、疑惑を提起するとともに、セーフガード関連問題の解決に向けたイランとIAEAとの間の合意実施のプロセスを加速するよう要求しました。
また、核合意実施再開に向けたオーストリア・ウィーン交渉が中断した要因はイランにあると主張するしながら、 現在の状況の責任がどちらの側にあるかには言及せずに、イランに対して核合意内責務の完全履行を要請しました。
同時に、制裁解除交渉のロシア代表団を率いる、在ウィーン国際機関のロシア常駐代表・ウリヤノフ氏は西側諸国に対し、協議をまとめるために核合意復活交渉に戻るよう促しています。
核合意の実施再開に向けた交渉は、数カ月にわたる集中的な外交折衝の後、アメリカ側の新たな要求の提起や行動の一貫性の欠如、意思決定の遅れなどによって中断されています。
これまでの経験から、米ホワイトハウスは外交上の主張にもかかわらず、核合意への復帰および、トランプ前米大統領政権の対イラン政策の失敗の補填という決定を下すのに必要な意志がないことが明らかになっています。