イランへの圧力はイラン政府にとって防衛と核の方策転換の最良の機会となるか?
(last modified Sat, 23 Nov 2024 09:36:49 GMT )
11月 23, 2024 18:36 Asia/Tokyo
  • イランへの圧力はイラン政府にとって防衛と核の方策転換の最良の機会となるか?
    イランへの圧力はイラン政府にとって防衛と核の方策転換の最良の機会となるか?

一部の専門家の間では、イランにとって今が核開発計画を後戻りできない段階にまで引き上げる絶好の時期だと考えられています。

【ParsTodayイラン】ここ数カ月に見る欧米諸国の行動と立場表明からは、彼らがイランに対し全く逆の政策を踏襲していることが見て取れます。イラン紙ソブへ・ノウの報道によると、イランは緊張緩和や敵対関係の終結を目指していると繰り返し強調しているものの、西側諸国はこうした取り組みに前向きに反応していないだけでなく、根拠のない主張を提起して自らの圧力と脅迫増大を続行しています。

ここ数年イランは国際社会に対し、自国の核活動があくまでも平和目的で、その計画が核兵器製造には逸脱していないと表明してきました。イランはさらに、ウクライナ向け武器送付をめぐる主張を否定しています。イランのこうした明確な立場にもかかわらず、西側諸国はどうやらイランの協力を乱用して圧力と脅迫を続けており、対話の場を設けるのではなく緊張を生み出そうとしています。

 

 

対イラン決議採択を狙った欧州トロイカの工作

オーストリア・ウィーンにあるIAEA国際原子力機関では19日火曜、同機関へのイランの協力規模及び同国の核計画を検討する理事会会合が開始されました。いわゆる欧州トロイカと評される英独仏3か国は対イラン決議草案を加盟国に配布ました。この草案文書は、イランに対する圧力の強化という欧州諸国の真剣な決断を示しています。

エスラーミー・イラン原子力庁長官はIAEA事務局長との共同記者会見で、同国としてこの決議を前に沈黙することはないと明確に警告しました。また、「欧州諸国が対立の道を選択し、イランに対する干渉主義的かつ破壊的な決議案が出された場合、我々は即時にそれに対する行動に出る」と強調しました。

 

自ら違反した約束事の責任を追及する側となった西側諸国

過去数年間、JCPOA包括的共同行動計画(通称;対イラン核合意)からの米の離脱や欧州の約束違反にも関わらず、イランは可能な限り約束を守り、国際社会に自らの善意を示すことに努めてきました。しかし、西側諸国はこの善意に応える代わりに、脅迫と制裁の道を選んだのです。

 

イランによる英断の必要性

こうした状況を踏まえ、一部のアナリストは、イランがこれらの脅迫に対して断固たる決断を下すべきだと考えています。実際、イラン外交戦略評議会のキャマール・ハッラーズィー議長は以前のインタビューで、「脅迫の時代において我が国は自らの防衛方針を転換する可能性がある」と述べていました。

イランは西側諸国の行動に応じてウラン濃縮レベルを上げ、IAEAとの協力を最小限に抑えることが可能です。ハッラーズィ議長が指摘したように、脅迫の時代は後からの変更がきかない重要な決定を下すのに最適な時期なのです。

 

イランの核開発計画の課題を決定する機会

一部の専門家は、イランにとって今が核開発を後戻り不可能な段階にまで引き上げる最適な時期だと考えています。

ここ数日のイラン当局者の行動や発言は、同国が自らに対する一切の脅迫や決議にも適切に対応する用意があることを示しています。イランがこれから取り組む可能性のある措置としては、IAEAとの協力縮小、査察レベルの引き下げ、さらにはウラン濃縮の増大が考えられます。

この状況から、イランがこれまで通り協力や対話を通じた問題解決を追求しているにもかかわらず、西側諸国の対立的な行動は対話の雰囲気を弱め、イランに断固たる決断を迫った形となっています。

 

EUによる制裁の拡大;対イラン敵対行為のもう一つの実例

EU理事会は声明の中で去る18日月曜、欧州諸国の外相がイランに対する制限措置の範囲の拡大を決定したことを明らかにしました。この決定は、イランがウクライナ戦争でロシアを軍事支援し、西アジアと紅海では武装勢力を支援しているという主張を口実に下されたもので、これはまさにイランに対するヨーロッパの敵対的行動のもう一つの実例といえます。

 

イラン防衛産業に矛先を向けての新たな制裁

この決定により、無人機やミサイル、およびその関連技術の輸送にかかわる船舶や港湾の使用に対して制裁が行使されています。EUはまた、イランのミサイルや無人機の開発・生産に使用される部品の輸出、譲渡、供給、売却を禁止しました。

イランの防衛産業と戦略的能力を直接狙ったこの決定は、欧州諸国が先進防衛技術分野におけるイランの能力を制限しようと画策していることを物語っています。この行動がなされたのは、EUがウクライナ戦争に対するイランの軍事支援をめぐる主張について、具体的かつ信頼できる証拠を全く提示していない中でのことです。

EUがとった、協力ではなく制裁という圧力・脅迫手段は、対イラン圧力行使手段として制裁を利用した明らかな例といえます。核合意での約束を履行しておらず、象徴的な声明の発表だけにとどまっている欧州は現在、制裁の策定によりイランの防衛技術開発を阻止しようとしていますが、その一方で、イランは「そのような制裁は決して、同国の戦略計画に著しい影響を及ぼすことはなく、同国として今後も引き続き防衛能力を開発していく」と繰り返し宣言しています。

 

 


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