イランとユーラシア経済連合圏の協力は、強力な地域の創出に向けた長期戦略
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カーゼム・ジャラーリー駐ロシア・イラン大使
ペゼシュキヤーン・イラン大統領が、ロシア・サンクトペテルブルクで開催されたEAEUユーラシア経済連合首脳会合に寄せたメッセージにおいて、イランとEAEU加盟国間の協力の継続を、強力な地域を築くための長期的戦略だとしました。
ペゼシュキヤーン大統領はEAEU首脳会合に宛てたメッセージで、「イランとEAEU加盟国間の協力は、国家主権を強化し強力な地域を創出するための長期戦略である」と強調しています。
ペゼシュキヤーン大統領のメッセージは、駐ロシア・イラン大使カーゼム・ジャラーリー氏によって代読されました。
この首脳会合は21日日曜、サンクトペテルブルクで開幕し、EAEU加盟5カ国であるロシア、ベラルーシ、カザフスタン、キルギスの大統領、並びにアルメニア首相らが参加しています。
ペゼシュキヤーン大統領はこのメッセージの中で「イランとEAEU加盟国間の協力継続により、輸送と貿易が促進され、エネルギー安全保障が強化されるとともに、技術の発展や共同の金融・銀行インフラの構築、人々の交流拡大につながるだろう」と述べています。
また「文化的・歴史的な共通性に依拠し、地理的近接性の利を活用することで、地域統合の成功モデルを構築できる」と強調し、「イランとして地域的および多国間メカニズムを一層重視しており、我々は常に地域協定や地域ブロックにおいて、効力があり信頼できるメンバーおよびパートナーとなるよう努めている」としています。
EAEUユーラシア経済連合は、ベラルーシ、カザフスタン、ロシア、キルギス、アルメニアで構成される政府間経済連合です。またイランが2024年にオブザーバー加盟しているほか、ウズベキスタン、キューバがオブザーバーとして活動しています。
イランとEAEUの協力は、経済面での選択であるとともに、長期的な地政学的戦略でもあります。自由貿易協定が締結されたことで、この協力により西側諸国の一方的な行動への対抗および、エネルギー、輸送、技術、貿易における共通の能力活用のための下地ができることになります。
イランとEAEUとの自由貿易協定は2025年5月から発効しています。この協定により貿易量が増加し、関税が削減されたことで、通商関係者と国家経済にとってまたとない機会が生まれています。
イランとEAEU加盟5カ国(ロシア、ベラルーシ、カザフスタン、キルギスタン、アルメニア)との協力は、西側諸国による一方的な制裁への対抗に向けた効果的なアプローチとなり、貿易や金融取引の代替ルートも生み出すと考えられます。
イランが地政学的に見てペルシャ湾、中央アジア、コーカサスを結ぶ架け橋としての立場にあることから、貿易回廊拡大の機会が生まれており、またこの組織の加盟国に共通の銀行・金融インフラの構築は、ドルと西側諸国の銀行システムへの依存を減らすことも目的としています。
さらに、イランとEAEUの協力は経済的利益に加え、地政学的・安全保障的側面も有する多面的な戦略でもあります。この協力は地域統合・連携の成功モデルとなり、多極化した国際体制におけるイランの地位の強化に寄与する可能性があります。一方、イランとEAEUの協力は単なる貿易協定にとどまらず、強力な経済・政治ブロックへと発展する可能性を秘めています。
イランは、その恵まれた地政学的立地と豊富なエネルギー資源を活かし、この地域における輸送拠点およびエネルギー供給拠点となることが可能です。人的交流、科学・文化交流、そして地理的な近接性により、持続可能な同調の基盤が強化されることになります。
長期的には、イランとEAEU加盟国との関係拡大により、独立した金融基盤と持続可能な地域安全保障を備えた強力な経済・政治圏の形成への道が開けると思われます。イランは、国内および地域における能力の活用により、EAEUとの協力を通じて経済、安全保障、そして政治面での利益を同時に促進できるのです。

