映画「預言者ムハンマド」(2)
マジード・マジーディー監督のイラン映画「預言者ムハンマド」は、2014年の作品で、少し前に、世界各地の映画館で公開されました。
この映画はイスラムの預言者ムハンマドの生涯について語っています。映画のストーリーは、預言者ムハンマドとその教友たちがクライシュ族の制裁によって避難した、アブー・ターリブ谷の出来事から始まり、それから時代をさかのぼり、預言者ムハンマドが生まれる前から12歳までの時代を描いています。この作品は三部作となり、預言者ムハンマドの生涯のさまざまな時期を扱う予定です。この映画は、これまでに預言者ムハンマドに関して作られている、多くの一連の芸術作品のひとつです。
イスラムは7世紀、アラビア半島西部に出現しました。しかし、短い期間に様々な人々を団結させ、一枚岩の統治体制を作り上げました。この勢力拡大の結果、イスラムの改宗した国や人々の芸術は変化し、一部の芸術については、イスラムによって新たに出現しました。
イスラム芸術は、聖典コーランを書くことより始まり、この分野で、イスラム教徒の書道家が才能を発揮しました。しかし、それからまもなくして、コーランの表紙や端が色鮮やかに装飾されたり、その後の数百年間にわたり、学術的な、歴史的、文学的な文書が記されたり、翻訳されたりしました。本の中で、羊皮紙の代わりに紙が使用されたことは、本の装飾のレベルを高める道を開きました。
イスラム教徒の芸術的、文学的な書物の中で確認されるもっとも重要なテーマとは、預言者ムハンマドの奇跡のひとつ、天界飛行です。この出来事は、神秘主義哲学者によって、3つの部分に分けられています。第1の飛行は、地上から最終的な天界へ、2番目の飛行は物質的な世界から光の領域へ、3番目は理性の世界から崇高な真理の世界です。
預言者ムハンマドの天界飛行は、イスラム教徒の絵師によって盛んに扱われ、様々な形で描かれました。彼らの一部はこの天界飛行を物語り形式で描いたり、この天界飛行の精神や地位を描いています。
現存する天界飛行の絵画作品は、14世紀のイルハン朝のものが最古です。