預言者ムハンマドの芸術的表現(15)
「預言者ムハンマド」は、イランの映画制作者マジード・マジディ監督による歴史的、宗教的な映画であり、イスラムの預言者ムハンマドの幼少時代から12歳までの時期の物語を描いています。
この映画は、啓典の民の書及び、神の預言者の起こした奇跡の一部を典拠としており、世界の視聴者をひきつける力を持っています。それは、この作品全体の雰囲気が慈愛にあふれ、その全体的なメッセージは各宗教が唯一神信仰を機軸として団結することを呼びかけているからです。
この映画の興行期間中、数多くの映画評論家がこの作品を賞賛するとともに、多数の視聴者もこれを絶賛しました。しかし、驚くべきことに一部のアラブ諸国は、この作品の制作開始の当初からこの価値ある作品に反対を示しました。しかし、こうした喧騒をよそにこの作品の制作関係者らは、そうした反論が事実に合致していないとしています。
過激派のサラフィー派が、この作品を批判するために用いた口実の1つは、預言者ムハンマドの肖像に関する問題でした。しかし、マジディ監督は、この作品においては預言者ムハンマドの肖像が描かれていないことを指摘しています。
サウジアラビアのシャリア法学部の教授であるアフマド・モスタファー氏は、この作品に対するアラブ世界の一部の宗教学者の立場を批判し、次のように述べています。
「映画『預言者ムハンマド』は、預言者ムハンマドの表面的な特徴を示しておらず、表情には影がつけられ、また後姿のみが出てくるのみである」
このことは、制作者が預言者の表情を提示しないという重要な原則を守ったことを示しています。しかし、一部の宗教機関は政治的な意図から映画をとらえ、見解を表明しています。それは、この作品の監督がイラン人であり、彼らがイランと問題を抱えていることが理由です。間違いなく、アラブ世界のイスラム機関や組織は現代にマッチしたものではなく、新世代が自らの文化や宗教の崇高な位置づけや偉大さを伝えるうえで時代の手段を駆使することを妨害しているのです。ムスタファ教授は、次のように述べています。
「映画『預言者ムハンマド』は、説教師や歴史的な書物がこれまで表現しえなかった形でイスラムを紹介している。だが、一部の人々は未だに、イスラムのイメージを守る上での映画の影響の重要性を理解していない」