一日一冊、本の紹介(21)
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イスラム暦モハッラム月の儀式に関する研究と、それらに隠された価値観や文化的な地位の紹介は、現在、無形遺産という点から、中東最大の文化的な共通点となっています。
(last modified 2025-08-16T09:55:59+00:00 )
12月 19, 2016 18:50 Asia/Tokyo
  • 一日一冊、本の紹介(21)

イスラム暦モハッラム月の儀式に関する研究と、それらに隠された価値観や文化的な地位の紹介は、現在、無形遺産という点から、中東最大の文化的な共通点となっています。

なぜなら地域諸国におけるその広がりは、国民的な統一を強めると共に、地域的な連帯の維持や強化にもつながるからです。またこれらの儀式は、貴重な無形遺産を語り継ぎ、現在にまで伝えてきました。

モハッラム月の追悼儀式の中で、「タアズィーエ」という殉教劇は特別な地位を有しています。タアズィーエとは、追悼を意味する単語ですが、現在はシーア派3代目イマーム、ホサインのカルバラでの蜂起と殉教に関する宗教劇のことを指す言葉となっています。

ムハンマド・ミールショクラーイーの記した「タアズィーエとアーシュラーの儀式」という本は、この殉教劇をさらに紹介する目的で、タアズィーエに関するさまざまな問題について語っています。この本は、アーシュラーの儀式が拡大した文化的、歴史的な背景、モハッラムと象徴的なシンボル、タアズィーエにおけるイランの古い演劇的な要素の存続、北部ギーラーンにおけるモハッラム月の儀式とタアズィーエなど、6つのテーマを含むものです。

この本には次のようにあります。

「タアズィーエは、あらゆる町や村で、その場所の社会的な状況に応じた特徴を有している。タフレシュ行政区は、イラン中部マルキャズィー州に位置し、周囲を高い山に囲まれている。この町のタアズィーエは長い歴史を有し、地区ごとに、“テキーエ”と呼ばれる、タアズィーエを行うための特別な場所がある。この町で上演されるタアズィーエは、ガージャール朝時代に中央政府のテキーエで上演されていたタアズィーエの規模を小さくしたものである。このことは、この町の特定の階層の人々が、ガージャール朝の宮廷と密接な関係を有していたことや過去のタアズィーエ上演者の社会的な地位を示している。興味深いのは、さまざまな報告によれば、この地域の多くの人々、高齢者たちも、音楽の代わりにタアズィーエを歌い、それを暗記していることだ。それにより、タアズィーエを上演する人々は高い技術を有し、ほとんど間違いを犯さない」