一日一冊、本の紹介(23)
モハンマドアリー・モヴァッヘド博士による著作『イブン・バットゥータ』が、最近、出版されました。
14世紀のモロッコ出身の旅行家、イブン・バットゥータの旅行記はイスラム世界の文化に関する最も美しく、雄弁な旅行記です。
モヴァッヘド博士はこれ以前にも、イブン・バットゥータの旅行記の一部をペルシャ語に翻訳しており、『イブン・バットゥータ』という本では、この旅行記の最も魅力ある衝撃的な部分を編集しました。モヴァッヘド博士はこの本の中で、女性の個人的、社会的な役割、政治権力、宗教と政治体制、教育と文化といった重要な問題について語っています。
イブン・バットゥータは1304年、モロッコ・タンジェに生まれ、生涯の中でメッカやエジプト、シリア、アラビア半島のヒジャーズ地方、イラク、イラン、イエメン、バーレーン、トルキスタンやインド、中国、ジャワ島、東ヨーロッパ、東アフリカを旅行しました。この旅は27年にもわたりました。イブン・バットゥータはマルコポーロとおよそ同時代人ですが、マルコポーロの3倍の距離を移動しており、彼は人類史におけるもっとも偉大な旅行者の一人とされています。
イブン・バットゥータはイスラムやイスラム教徒が及んでいた地を旅した中で、支配層の行動や性質、王のあり方だけでなく、イスラム法学者の行動や慣習、人々の生活や儀式についても書いていました。町の様子、職能集団の構成、産業や生産活動、祝賀や追悼、つまり、社会、政治、文化における状況などが、彼の旅行記の中でうかがえます。
『イブン・バットゥータ』は、2つの部分に分けられます。第1の部分はイブン・バットゥータと彼の人となり、そしてその旅行を知ることができ、後の部分では、そのたびの中で起こった出来事が繰り返し語られています。その後、当時の政治や文化、社会の状況が説明され、イブン・バットゥータと同時代の著作による証拠が引用されています。