1日1冊、本の紹介(32)
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本日ご紹介する書籍、「メディアリテラシーのもとでのメディア上の暴力」は、イランの作家マルヤム・アーフーイーの著作です。本書では、メディアにおける暴力をテーマに、その位置づけについて追っています。
(last modified 2025-08-16T09:55:59+00:00 )
1月 01, 2017 16:27 Asia/Tokyo
  • 1日1冊、本の紹介(32)

本日ご紹介する書籍、「メディアリテラシーのもとでのメディア上の暴力」は、イランの作家マルヤム・アーフーイーの著作です。本書では、メディアにおける暴力をテーマに、その位置づけについて追っています。

本書では、新聞における暴力的なニュースを批判するとともに、そうしたニュースがもたらす影響や結果について述べています。作者は、暴力を伝えるニュースや画像が、出版物を通して社会に入ることにより、暴力がエスカレートし、正当化されることになると見ています。

この書籍の序文において、作者はメディアを新たな世界において避けられないものとしており、こうしたメディアによる視聴者の生活や意識への影響を指摘しています。彼女は、次のように述べています。「今日、メディアは、教育や指導、方向性の決定、世論の枠組みの形成に大きな役割を果たしている。現在、メディアはその本来の責務や正しい道筋から逸脱してしまっており、社会の混乱や逸脱に関する情報を恒常的に発信することで、読者の間にストレスや動揺を生み出している。一方で、書籍や雑誌などの刊行物、テレビや映画などを含めたメディアの最大の犠牲者は、子供や若者である」

この本は、3つの章で構成されており、その中で一般受けするメディアやその特性について語っています。作者は、一般受けするジャーナリズムを、扇情的である事を売り物とするイエロージャーナリズムと同レベルではないとしています。その理由は、一般受けするジャーナリズムは娯楽的で、読者を夢中にさせる特質を有するのに対し、イエロージャーナリズムは事実に反する扇動的な内容を扱っていることにあります。

本書の最後の章においては、メディアを取捨選択して適切に活用する、メディアリテラシーという概念について取り上げており、これを暴力に対する適切な戦略だとしています。それは、メディアが日々私たちや次の世代に向けて、日々より多くの情報を発信しており、それらがわれわれや次世代の文化や価値観、見解、信条の形成などに重要な役割を果たしているからです。メディアの中にいることで、私たちには否応なしにそうしたツールやその機能に対する十分な見識、つまりメディアリテラシーを持つことが求められています。メディアリテラシーは、各種のメディアやその成果物を見極め、それらを内容や質に応じて識別する能力を意味しています。