一日一冊、本の紹介(35)
外交とは、話し合いによって政府の対外問題を解決するための平和的な手段です。
「イスラムにおける外交と国際的な行動」は、イスラムの聖典コーランの節や預言者の言行録、ホメイニー師やハーメネイー師の政治的な発言について考えることで、可能な限り、その中から外交や外交政策にとって必要な手段を引用し、統一された方法で提示しようとしています。
この書籍の作者、バハラーム・アフヴァーンカーゼミーは、その最も主要な研究結果について、唯一神信仰がイスラムのシステムの中心、その最も基本的な目標だとしています。このため、全体的な目標の基盤とそれに続くイスラムの外交的な目標は、神への信仰を基盤としています。これにより、イスラムの外交の本質は、文化的なものとなっており、現代の専門用語を用い、明らかな形での「パブリック・ディプロマシー」の一種と言えるでしょう。
イスラム体制において最も基本的な外交的責務は、人々の文化の修正と国内外全てのレベルにおけるその浄化です。こうした見方において、国内外の分野の無秩序を正すことはまず第一に、文化から始められるべきだということを示しています。続けて、宗教文化は、世界の国民の幸福や不幸の全ての起点だとし、これは一般外交を選択する上で正当なものとなっているとしています。
この書籍では、パブリック・ディプロマシーは情報伝達、相互理解、また他国の世論への影響に向けた政府の努力だとされています。こうした努力は学術やスポーツの交流から、人類学や演劇、映画、絵画といった文化見本市の開催や芸術家同士の交流までを含みます。
この書籍は8章の中で、現代の外交の特徴について述べています。宗教、法律的な基盤、イスラム外交の目的や原則、またその手段や方法についても述べられています。最終章では、様々なイスラム体制における外交的な変化の検討やイランにおける外交や外交政策について提示されています。