1日1冊、本の紹介(39)
1月 09, 2017 18:25 Asia/Tokyo
この数十年間、宗教映画が評論家の論争のテーマとなってきました。
セイエド・モルテザー・アーヴィニーは、映画評論家の1人であり、イランの映画の歴史において、未来の世界が間違いなくイスラム世界となる、という考え方により、宗教映画に関する数多くの講演や記事の執筆を行ってきました。
彼の作品のうち、『魔法の鏡』というタイトルの3巻本が出版されており、その著作の主なテーマはイランや世界の映画の批評と考察、そして映画作品における宗教的な様相の概念の探求です。
この著作の第1巻の内容は論説、第2巻は批評、第3巻は映画をめぐる討論となっています。宗教映画に関心を持ち、また映画と宗教という2つの要素に結びつけようとする人々にとって、この著作を読むことは大きな助けとなります。
『魔法の鏡』は、およそ1000ページにわたり、映画の本質に関する作者の見解や思想が述べられています。この著作は、ドキュメンタリー映画制作者であるアーヴィニー氏の10年間にわたる経験の集大成であり、それぞれの論点に哲学的、神秘主義的な視点を投じていることは、これまでの映画の専門書には見られなかった特徴だといえるでしょう。
セイエド・モルテザー・アーヴィニーは1993年、あるドキュメンタリー映画の撮影中に、イラン・イラク戦争時代から残っていた地雷により殉教しました。彼は、イラン・イラク戦争に関するドキュメンタリー番組『勝利の伝説』により、映画界において高い名声を博しています。
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