EU上級代表によるテヘランでの核合意に関する協議
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ローハーニー大統領、モゲリーニ上級代表
イランのローハーニー大統領の就任式に出席するため、テヘランを訪問したEUのモゲリーニ外務・安全保障政策上級代表が、ローハーニー大統領、および、ザリーフ外務大臣と会談し、核合意について話し合いました。
ローハーニー大統領は、5日土曜、モゲリーニ上級代表との会談で、アメリカによる核合意の取り決めに対する行動は、すべての関係国の懸念を招いているとし、「アメリカ政府による核合意の違反の繰り返しと、イランに対する追加制裁の行使は、イランの世論にマイナスの影響を及ぼしており、核合意の実施の支障となる可能性がある」と語りました。これ以前に、ザリーフ外相もモゲリーニ上級代表との会談で、「アメリカの新政府は、イランが核合意の利益を活用するのを妨げようとしており、それは核合意の内容に反するものと見なされる」と語りました。モゲリーニ上級代表も、ローハーニー大統領との会談で、EUは、核合意の完全な実施を保障するための包括的な計画を追求しているとし、「核合意はヨーロッパにとって、特別な重要性を有しており、核合意の署名により、イランとEUの貿易活動の80%以上が順調に行われている」と語りました。
アメリカの新政権の発足により、核合意に対する懸念が高まっています。トランプ大統領のホワイトハウス入り後、イランの核合意遵守が2度、認められたにも拘わらず、トランプ大統領の核合意のバランスを欠いた行動が、この合意への違反の繰り返しにつながっています。アメリカ議会における対イラン制裁の可決とトランプ大統領によるこの法案の署名は、核合意を弱め、イランの利益を最小限に抑える目的で行われました。世論に圧力をかけ、イランを核合意への違反に導くことが、トランプ大統領核合意に反する行動の最大の目的です。ザリーフ外相によれば、トランプ大統領は、イランの責任によって、核合意を消滅させようとしています。
これについて、アメリカ国務省のカービー元報道官は、2日前、CNNのインタビューで、イランとヨーロッパ諸国の核合意に対する懸念は論理的なものだとし、次のように語りました。
「トランプ大統領は、少なくとも核合意から離脱しなければ満足せず、何より、イランを核合意の違反で非難しようとしている」
イランは、常に核合意の取り決めを遵守しており、IAEA国際原子力機関の報告でも、イランの核合意の遵守が繰り返し認められています。イランの体制責任者は、これまで何度も、アメリカに、核合意を破壊する機会を与えるつもりはないこと、このような状況の中で、EUとの建設的かつ賢明な協力が不可欠であることを強調してきました。
最近、イギリス、フランス、ドイツのヨーロッパ3カ国が、イランの衛星ロケット・スィーモルグの発射実験を核合意への違反だとしたアメリカの主張に同調しました。このような行動は、モゲリーニ上級代表が、イランの大統領や外相との会談で示した、EUの核合意を支持する立場とは矛盾するものです。
ザリーフ外相は、5日の会談で、モゲリーニ上級代表に対し、イランのミサイル実験やスィーモルグの発射実験は、国連安保理決議2231への違反ではないと訴え、アメリカと共同で発表されたヨーロッパ3カ国による声明は、誤った方向に向かう動きだとしました。
これについて、テヘラン大学の教授で、国際問題の専門家であるマランディ氏は、5日、ロシア・スプートニクのインタビューで次のように語りました。
「衛星の打ち上げは国際法規に沿った行動であり、イランによるスィーモルグの発射実験は、核合意への違反ではない」