核合意に関するIAEAの10回目の報告
IAEA国際原子力機関が、最近出された10回目の報告で、「イランの核活動は、完全に核合意に即している」としました。
IAEAの報告は、実際、2016年1月から行われている、イランと6カ国の核合意における重要な指標のひとつとなっています。
IAEAは、イランが核合意の取り決めを完全に守っていると発表しています。
しかし、アメリカのトランプ大統領は、イランに嫌疑をかけることに固執しています。
核合意は、数カ国による合意であり、国連安保理の承認により、すべての参加国に受諾されている合意ですが、アメリカは核合意の実施を妨害しています。
イラン原子力庁のキャマールヴァンディ報道官は、IRIB通信のインタビューで、イランの核合意遵守を認めるIAEAの新たな報告に触れ、次のように語りました。
「アメリカの核合意に反する行動から、ヨーロッパ諸国は核合意を守らせるために、アメリカに対する圧力を強化することが必要だ」
アメリカの新聞ワシントンポストは、23日金曜、ホワイトハウス筋の話として、次のように記しました。
「トランプ大統領は核合意の留保の条件として、6つの分野に関してイランが行動を改めることを提示し、これに関してヨーロッパの協力を求めている」
アメリカの政府関係者によれば、トランプ大統領は以前、核合意の一部の項目を変えること、軍事施設を含むすべての施設を査察可能にすること、イランの大陸間弾道ミサイル計画の制限といったことを核合意の条件としていましたが、現在、人権侵害、サイバー攻撃の脅威、軍の経済活動といった事柄をも、この前の3つの条件に付け加えています。
このアメリカの行動と条件付けにより、核合意は危機に陥っています。一部の専門家は、トランプ政権とヨーロッパ諸国の政府の核合意をめぐる対立は、以前にまして拡大していると考えています。
現在、ワシントンのミドルイースト・インスティテュートにて勤務しているアメリカ国務省の元中東担当部長は、アメリカはこの立場をとる中で孤立することになると考えています。
アメリカが、納得できる理由もなく核合意を離脱することを決定すれば、ヨーロッパ、中国、ロシアを同調させることはできないでしょう。アメリカ議会は、現在、核合意に関して決定を下すことが出来ておらず、トランプ政権がヨーロッパの核合意参加国の合意を得られることへの疑いは、さらに大きくなっています。
政治の世界では、ヨーロッパの同盟国3カ国、つまり、フランス、ドイツ、イギリスにとって、アメリカの核合意離脱、あるいは、アメリカがこれらの国が望んでいない、内容の見直しにこだわることによって、アメリカと世界各国の溝が最も深刻な状態になると見られています。
イギリス駐在のバイーディーネジャード・イラン大使は、「核合意に関するイギリスとヨーロッパ諸国の、アメリカとの対立は、深刻なものだ」と語っています。
ヨーロッパ諸国は現在、トランプ大統領に対して、自動的にアメリカに追従することは義務ではない事を理解させようとしているようです。