4月 30, 2016 19:46 Asia/Tokyo
  • イランとの経済協力の開始を懸念する世界各国の銀行

銀行業務に関する問題へのアメリカの建設的でないアプローチにより、世界各国の銀行が核合意の実施後も、依然としてイランとの経済協力の開始を懸念しています。

モッラーイー解説員

ドイツ商工会議所のエリック・シュヴァイツァー会頭によりますと、これ以前にヨーロッパ諸国の銀行は、アメリカからペナルティーを科されるとの恐れから、イランとの取引に二の足を踏んでいるということです。シュヴァイツァー会頭はまた、「ドイツ経済はイランとの取引を楽観的に捉えているが、同時にこの外貨取引に適した下地が整えられるべきだ」と語りました。

イギリスの大手銀行も、イランなどの一部の外国との取引に対するアメリカの反対に注目し、西側諸国による対イラン制裁の解除措置を監視し、誘導する高等委員会を設置しようとしています。BBA・英国銀行協会は、対イラン制裁の解除による結果を考察する作業グループの結成に同意しました。イランの貿易問題のイギリス首相代表を務めるラモント氏は、「イギリスは、イランとの経済協力の拡大において、ほかのヨーロッパ諸国に遅れをとっている」と述べています。

対イラン制裁が解除されてから3ヶ月が経過したにもかかわらず、ヨーロッパ諸国の外交官や貿易業者の一部は、イランと締結した自らの合意内容を実施できていない状態にあります。多くのヨーロッパ諸国は、イランとの協力拡大における最大の障壁はアメリカだとしています。ヨーロッパ諸国の銀行は、アメリカの想定外の反応を懸念し、あらゆる取引の本格的な開始に二の足を踏んでおり、事実上イランの金融システムに対する制裁を続行しているのです。ヨーロッパ諸国はまた、過去にイランへの入国歴がある場合にアメリカへの入国が制限されるという、アメリカの新たな査証規定を指摘し、こうした制限措置によりイランとの間に合意を成立させることがほぼ不可能となると表明しています。

イランのザリーフ外務大臣は、アメリカの新聞ニューヨークタイムズとのインタビューで、「イランは、アメリカの金融システムへの参入を望んでいないが、アメリカはヨーロッパの銀行がイランと安心して取引できないよう、その金融取引を妨害することが予想される」と語りました。

ヨーロッパ諸国は、イランに対する通商面での制限を解除しています。制裁が実施される前の2006年の時点では、ドイツはイランの最大の貿易相手国であり、イランとヨーロッパを結ぶ空の便も運行していました。また、イラン産原油がオランダ・ロッテルダムの港湾で精製され、ヨーロッパの大手石油会社ロイヤルダッチ・シェルがイランの大規模な石油プロジェクトに参加していました。現状においても、ヨーロッパは現在立ちはだかる障壁にもかかわらず、イランとの通商関係の見直しの迅速化を決定しています。イタリアの石油会社は、100万バレルのイラン産原油を積載し、同国に移送するタンカーを予約しており、これは制裁解除後イタリアに到着する第1便となることが見込まれています。

運輸・通商部門の一部の情報筋も、「ギリシャの製油会社も、制裁解除後初めてとなる、イラン産原油を受け取ることになる」と語りました。この原油の船積みは今月20日、イラン南部・ペルシャ湾に浮かぶハールク島で行われています。なお、この2つの会社は制裁前にもイラン産原油を購入していました。

ヨーロッパ諸国は、制裁前にはイランが輸出する石油全体の3分の1以上を購入していました。フランスのトタル社、ギリシャのヘレニック社なども今年、自国向けにイラン産原油の購入を予約しています。

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