岸田首相のウクライナ訪問、「極秘」なのに移動中の映像ばっちり
岸田首相は21日、訪問先のインドからポーランドを経てウクライナを訪問しました。
「電撃」「極秘」と報じられた今回の訪問ですが、移動中のポーランドでテレビカメラが待ち構えているなど、事前リークを強く匂わせるものとなりました。
岸田首相がウクライナに向かうとの報道は、日本時間21日午前11時半過ぎに各メディアが一斉に速報として報じました。これは外務省が公式に発表したことをうけてのものです。
当初の政府の説明では、岸田首相は21日にインド訪問を終え、帰国の途につくとされていました。そのため、各メディアは今回のウクライナ訪問を「電撃」「極秘」などと形容しました。
しかし、極秘のはずの旅程で、日本テレビが経由地のポーランドで岸田首相の姿をカメラに収めていました。
日本テレビはこの日、岸田首相がポーランド南部ジェシュフの空港にチャーター機で到着し、その車列を捉えた映像を公開しました。
その後、同じく日本テレビとNHKが、ポーランドのプシェミシル駅から列車に乗り込みウクライナ国境に向かう岸田首相の映像を公開しました。
政府は、首相の安全確保のためウクライナ訪問の事前公表はしなかったとしていますが、実際にはウクライナ到着前からメディアが待機していたことになります。
実際、今回のウクライナ訪問に関しては、それを匂わす情報が事前に出回っていたようです。
日本テレビは、政府与党関係者が「岸田首相はインド訪問後にウクライナに行くと思う」と語っていたと報じました。
そもそも岸田首相自身、今年1月6日のゼレンスキー大統領との電話会談でウクライナ訪問に招待されて以降、訪問の検討を公言していました。
さらに同22日には読売新聞が、岸田首相が2月中にウクライナを訪問すると報じ、訪問が近いとの見方が高まっていました。
結局訪問は3月になりましたが、今回の日程もインド訪問と合わせることができる上、23日まで首相の国会への出席日程がないことから、首相周辺を取材していたメディア関係者であれば予測できていた可能性は十分あります。
時事通信は18日付の記事で、首相が3日連続で記者会見を開き、少子化対策や外交実績のアピールに躍起になっていると伝えました。
今回のウクライナ訪問も、首相の安全を損なわないギリギリのタイミングで公表し、各メディアが、首相がウクライナに入るまでをリアルタイムで追いかけるよう入念に施された演出と言えるかもしれません。