日露首脳会談の実施
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北方領土問題をめぐる日本とロシアの対立が続く中、安倍総理大臣がロシアのプーチン大統領と、ロシア・ウラジオストクで会談しました。
(last modified 2025-08-16T09:55:59+00:00 )
9月 03, 2016 17:13 Asia/Tokyo
  • 日露首脳会談の実施

北方領土問題をめぐる日本とロシアの対立が続く中、安倍総理大臣がロシアのプーチン大統領と、ロシア・ウラジオストクで会談しました。

ヴァガーリー解説員

安倍首相とプーチン大統領はこの会談で、両国やアジア太平洋地域の経済・通商協力の拡大をめぐる問題について協議を行いました。東方経済フォーラム2016に参加するため、ウラジオストクを訪問中の安倍首相は、この会談でアジア太平洋地域の経済面での可能性は極めて大きいとし、この地域の資源の活用とその開発が最優先であると語っています。

ロシアとの対立の焦点となっている北方領土には、国後島、択捉島、歯舞諸島、色丹島が含まれており、これらの近海には豊富な石油と天然ガスが埋蔵され、また良好な漁場でもあること、そしてオホーツク海に位置することから、北方領土は両国にとって経済的、戦略的な位置づけにあります。

北方領土は、第2次世界大戦の終結後はロシアが実効支配しています。第2次大戦後、ロシアと日本がいまだ平和条約を締結していないことから、日本は協議のチャンスを利用して、北方四島を日本に返還させる下地を作ろうとしています。こうした中、日露首脳会談と時を同じくして、「ロシア政府にとって日本との平和条約の締結は重要ではあるが、ロシアは自国の領土については一切協議を行わない」と表明しました。北方領土は、地理的に極めて有利な位置づけにあり、またオホーツク海と太平洋の間にあることから、ロシア艦隊の太平洋上への出口であり、ロシアにとって極めて重要な島々とされています。一方で、これらの島々の近海には数十億ドルに相当するエネルギー資源が埋蔵されていることから、北方四島に関する日本とロシアの対立は益々複雑化しており、日本はこの四島の返還に向けた努力にさらに力を入れています。

政治評論家の見解では、安倍首相のウラジオストク訪問は、どのような名目であれ、北方領土問題を初めとする様々な分野でのロシアとの対立を解消しようという、日本政府の意向を示しています。こうした中、ロシアは北方領土の実効支配を続行しながらも、工業技術や投資の面での日本の力を無視できないと強調しています。ロシアは、自国の技術革新や経済発展といった計画を推進する上で、日本の技術や投資を必要としており、今や北方領土問題は日本政府にとって自国の名誉に関わる問題となっています。自民党は、極めてナショナリスト的な見解を持っており、全ての可能な手段を駆使して、北方領土問題をめぐるロシアの立場を日本に同調させようとしています。日本は、ロシアとの平和条約の締結の問題を、ロシアに対する圧力行使の手段であるとして保持しており、ロシアがこの条約の締結に向けて、北方領土の返還に関する協議の合意を受け入れることを望んでいます。こうした中、プーチン大統領は、サハリンおよび北方領土がロシアの極東方面での防衛の中心地であり、自国の領土保全や安全を保証する存在であると強調しています。

一方、日本を含めた地域の政界や経済界の一部は、北方領土に日本とロシアが共同投資を行うことで、過去70年間にわたりこの両国関係に影を落としている緊張を収束させる早道になりうると考えています。

いずれにせよ、朝鮮半島をはじめとする東アジアの情勢に注目すると、日本は地域における平和と安全の確立を促す上で、ロシアとの協力を重要なものと見なしています。このため、日本はロシアとの協力と友好関係を維持したほうがよいと考え、時間の経過が北方領土問題の解決を促進すると見なしているのです。