日本人イラン学者、「日本人は米軍基地閉鎖を求めている」
日本のイラン地域研究専門家である鈴木均氏が、「日本人は米軍基地閉鎖を求めている」と強調しました。
日本の購入した複数のモデルナ社製ワクチンでの異物混入発覚、朝鮮半島動向と米韓共同軍事演習、茂木外相のイラン訪問とイ・米間橋渡し役を担うという憶測などの、日本で最近起きた出来事や状況をふまえて、IRIB通信に近いあるメディアがアジア経済研究所の鈴木均上席主任研究員にインタビューを行いました。
日本とイランの関係は、対米関係から独立している
鈴木氏は、「日米間には、日本政府がイ・米間の橋渡し役として行動するだけのどのような関係が存在するのか?」という質問に対し、「基本的には、日本のイランとの関係や外交は、対米関係から独立して決定し実施されている。したがってこの点では、この関係に常に米国の命令に従うことが求められたり、その影響の下で実施されたりはしていないと、私は考えている」と述べました。
日本人は米軍基地閉鎖を求めている
鈴木氏はまた、「日本人は、駐留米軍の法規に外れた行動や侵略的行為に対してどのような感情を抱いているか?」という質問に対して、日本が第二次世界大戦に敗北し、米国の進駐を受けていたことに触れ、現在の日米関係が複数の歴史的出来事を前提としていることを強調し、「日本での米軍駐留は、その(前提の)ひとつに挙げられるだろう」と答えました。
続けて、日本での米軍駐留について語り、「現在米軍は、日本に約4万5000人の兵士を駐留させており、非軍事職員や帯同する家族を含めると日本にいる米軍関係者の人数は9万5000人になる。その半数は沖縄の基地に、残りは日本各地の基地におり、そのために、沖縄が抱える米軍問題は大きなものとなっている。米軍は、この地域に大きな問題を作り出している」と説明しました。
そのうえで、日本に米軍が駐留している問題に触れ、「米軍駐留による非常に大きな問題のひとつは、滞在費を含めたその費用の負担にある。昔から、この費用の額は米国側によって決められてきた。それに加えて1978年以降は、通称『思いやり予算』と呼ばれる駐留支援金も、米軍受け入れ国として負担している」と指摘しました。
そして、この予算の年額について言及し、「思いやり予算は、2020年にはおよそ2000億円に達している。これに加え、日本での米軍駐留とその費用負担も依然として続いており、その負担は年間総額で4000億円にのぼる」としました。
一方、外国からの脅威にさらされた際の日本の防衛方法については、「このような条件のもと、外国の脅威に対してや有事の際に日本が取る対応方法は、米軍と自衛隊による行動となるだろう。それは日米安全保障条約の内容として含まれているものだが、総じてその構造には大きな問題が存在する」と述べました。
また、自国に米軍が駐留していることに対する日本の人々の感情については、「その感情について言うなら、日本人の大半、特に沖縄の人々は米軍駐留に反対し、悪い見本となっている同地の米軍の有様を変えさせたり、米軍基地が閉鎖されることを望んでいる」と説明しました。
鈴木氏はこの問題について、この先の日米関係において比較的大きなものとなると考えられるとしました。
ワクチン接種に対する日本の人々の懸念
鈴木氏は、「新型コロナワクチンに異物の混入が発見されたことに対する、人々の反応はどうか?」という質問に対し、「日本で深刻な問題となっている」と述べました。
また、自身もモデルナ社製ワクチンを接種していることを明かし、この件に関する人々の感情について、「このニュースにより、多くの人々がワクチン接種にあたっての懸念や不安を感じるようになった」と語りました。
朝鮮半島の未来は、この先大きな変化を迎える
鈴木氏は、朝鮮半島の将来と、同地域におけるバイデン米大統領の政策に関する質問に対し、「現在の状況に到った転換点は、トランプ前米大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記が2018年6月に行った会談だった」と述べました。
続けて、「トランプ時代、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領の目標は北朝鮮との関係改善とその拡大にあった。私の見るところ同大統領は、北朝鮮の閉鎖的な空間が国際的な次元で変わることに大きく期待していた」と指摘しまいた。
そのうえで、トランプ時代の政策は何ら効果や結果をもたらさなかったとして、「バイデン時代に入っても、大きな変化はこれまでに何も起きていない」としました。
また、韓国大統領の複数の側近が政財界汚職により逮捕されたことに触れ、来年の同国の選挙では今の野党が勝利する可能性があるとしました。
鈴木氏は最後に、韓国での選挙後には、同国と北朝鮮の政策は根本的変化に見舞われるだろうと予測しました。
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