ガザ戦争長期化の原因
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シオニスト政権イスラエルによるガザ地区に対する戦争開始から100日が経過しましたが、この戦争の終結の見通しは未だに立っていません。
(last modified 2025-08-16T09:55:59+00:00 )
1月 16, 2024 19:02 Asia/Tokyo
  • ガザ戦争長期化の原因
    ガザ戦争長期化の原因

シオニスト政権イスラエルによるガザ地区に対する戦争開始から100日が経過しましたが、この戦争の終結の見通しは未だに立っていません。

カナダの思想家マイケル・ブレッチャー(Michael Brecher)は著書『国際政治における危機』( Crises in World Politics)の中で、危機とは、各国の重要な価値観や利益が脅かされ、危機発生時に各国政府が想定外の状況に直面すると定義しています。また、危​​機の度合いと範囲を決定するための6つの指標として地政学的重要性、危機の内容勢力間の暴力関係勢力の複雑性軍事力の異質性大国の介入の度合いを挙げています。

ガザ戦争にこの思想家の理論を適用すると、当初の予想に反してこの戦争がなぜ継続し、終結の見通しがないのかが見えてきます。

第1の理由は、ガザの地政学的重要性です。ガザは小さな地区ではあるものの、占領地イスラエルの近くに位置しており、西アジア地域における抵抗の主要拠点の一つと考えられています。したがって、ガザでの敗北はこの政権にとって容認できないことなのです。

第2の理由として、危機の内容が挙げられます。実際のところ、ガザ戦争での主な問題はイスラエルの信頼性の喪失です。この政権は、自身に軍事、情報面で高度の能力があり、総体的に、非常に高い抑止力を持つと考えていたが、パレスチナ側の対シオニスト攻撃「アクサーの嵐」作戦によってそれは全て灰燼に帰しました。さらに、過去100日間の間にパレスチナ・イスラム抵抗運動ハマスに捕らえられたイスラエル人捕虜を解放できないままであり、これによりイスラエル側の情報面での能力がより疑問視されています。

第3の理由は、関係勢力間の暴力です。「アクサーの嵐」襲撃作戦では1,500人以上のシオニストが死亡しました。この事実も、人口問題に直面し、自らの占領地内の住民に対する擁護を軍事政策の支柱の一つに掲げているイスラエル政権にとって容認しがたいものです。しかし同時に、イスラエルがガザに対して行使した暴力は前例のない規模に達しており、事実上、イスラエル側は暴力と虐殺の継続を恐れていません。

また、第4の理由としては関係勢力が雑多であることが挙げられます。ガザ戦争の主な2大交戦勢力はイスラエルとハマスですが、実際には決してこれだけではありません。現実的にこの戦争においてはアメリカと一部のヨーロッパ諸国が正式にイスラエル側に味方しており、さらにはガザとハマスの側にはイエメンとレバノンのシーア派組織ヒズボッラーがついています。このような状態で、合意に達する可能性が低くなります。

さらに、第5の理由は各交戦勢力の力が不平等であるということです。シオニスト政権とハマスの軍事力は同等ではないだけでなく、近似性が全くないのです。米国およびヨーロッパの複数国の全面的な支援を受けているイスラエルは、装備の点でハマスとは比較になりません。このように関係勢力の軍事力の異質性も戦争を長引かせる重要な要因となっています。

 

そして、最後となる理由は、大国の介入の度合いです。大国によるガザ戦争介入は単に政治的、あるいは宣言による支持に限らず、今やアメリカ、イギリス、ドイツ、フランスもガザ戦争の片方の側についており、ガザに対するイスラエルの犯罪を正当防衛として定義する事態となっています。西側諸国のこの行動も、ガザ戦争長期化にとって見逃せない重要な要因であり、これらの大国に戦争終結の真剣な意志が芽生えるまでは、ガザに対するイスラエルの戦争は終結しないと思われるのです。

 

 


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