視点;メフル通信
真の目撃者たるジャーナリストが伝えた、イスラエルによる戦争
シオニスト政権イスラエルがパレスチナ人に対する犯罪を始めてから75年以上になりますが、世界はこうした犯罪を、この115日間に見聞きしているだけだと考えています。その短期間の情報も、シオニスト政権の激しい砲撃にさらされながらパレスチナ・ガザ地区のニュースを取材し、その動画や映像を世界各国のメディアに配信しているジャーナリストらに大きく負うものです。
最新の統計によれば、ガザ戦争勃発以来これまでの115日間で、120人のジャーナリストがガザで殉教しました。一方、人類史上最大かつ最も悲惨な戦争の一つとして知られる第二次世界大戦の6年間で命を落としたジャーナリストは69人に留まります。
一般の人々の間では、ガザのジャーナリストらは、他の一般人と一緒に爆撃で死亡したと考えられているかもしれません。ですが、実際はそうではありません。
シオニスト政権はこれらの人々を、思惑や目的のもとに攻撃しているのです。その代表的な例が、カタール国営衛星通信アルジャジーラの記者だった故シリーン・アブアクレ氏です。この女性記者は、パレスチナの対シオニスト政権作戦・アクサーの嵐の実施の何カ月も前に殉教しています。彼女は、任務を正確にこなすベテランのジャーナリストでしたが、パレスチナ・ヨルダン川西岸ジェニンでの軍事攻撃を取材中、報道・取材クルーを示す「プレス」と書かれたヘルメットとベストで覆われていなかった身体の部位を、シオニストの狙撃兵にピンポイントで狙われ、命を落としました。
シオニスト政権は、ジャーナリストの生命の安全を保障すると主張していますが、それとは逆にシオニスト政権イスラエル軍は「アクサーの嵐」作戦の数日に早くも、戦闘機でガザ市中心部にあるゴッツ・テレビの事務所を爆撃しました。この建物は、ジャーナリストたちが負傷した同僚らを救おうとしていたときに別の爆弾が上の階で爆発して崩落し、さらなる被害を引き起こしました。
シオニスト政権は約4か月間にわたり、1日当たり1人以上のパレスチナ人ジャーナリストを殉教させてきました。これらのジャーナリストは、人生最後の数日に砲撃の嵐の中という最も危機的な状況の中、飢餓に見舞われ満足な設備・施設のない土地となったガザからの報道を止めることはなく、イスラエル政権により自らの愛する人たちを殺害されたときでさえも、報道活動を続けていたのです。
パレスチナ人ジャーナリストのワエル・ダフドゥーフ氏は、最近ガザでよく知られるようになったジャーナリストの1人で、報道各社の間では「堅固な山」に例えられています。同氏は過去数日間に二人の息子、妻、孫、そして他の家族8人を亡くしたものの、一日たりとも仕事を休みませんでした。同氏は「アブー・ハムザ」の名前でも知られています。「ハムザ」は父親の道を継ごうとした彼の息子の名前ですが、その息子は父親に先立ち先週、自身が乗っていた車を狙ったイスラエル軍の爆撃により殉教しました。
ワエル・ダフドゥーフ氏は息子のハムザ氏の葬儀で、「人権はどこにあるのか?100人以上のジャーナリストが殉教していることに、誰も声をあげない。私の息子ハムゼがガザで殉教した最後のジャーナリストとなることを願うばかりだ」とコメントしました。 しかし、現実はそうはならず、同氏の息子の後にも、さらに10人のジャーナリストが殉教し、この状況は今なお続いています。
ジャーナリストらは、この虐殺を黙って傍観するだけという世界の無策ぶりにあきれ返っています。イスラエルに対する強い憎悪の波と、これほど多くの反シオニスト集会やデモが行われているにもかかわらず、国際機関や組織、各国政府はこれまでシオニスト政権により114日間にわたって公然と犯罪が続いている間、やるべきことを先に進ませなかったのが現実です。人権主張者が実際には空虚であることから、パレスチナではメディア活動家が多数の抗議と苦情を申し立てています。
ジャーナリストらはこの期間中、最も親しい同僚や友人を失い、自分も死を待つ人の列に含まれていると、繰り返し表明してきました。ガザで活動していたジャーナリストの一人、ラシュディ・シラージ氏は「X」上の自身のアカウントに「私はどこにも行かない。ガザの外には出ない。天の外には」と書き込んでいましたが、この投稿が公開されてからしばらく後に殉教しました。
パレスチナのジャーナリスト・報道関係者は、自分たちが攻撃の標的にされていることを熟知しています。それは見識を広め、真実に関する情報伝達に貢献し、そしてシオニスト政権イスラエルの占領下にあるパレスチナとヨルダン川西岸、そして包囲されたガザ地区で何が起こっているかを世界に伝えているからです。ジャーナリストは国際法の下に保護されていますが、無名であるガザで殺害されるジャーナリストや無実の人々の殉教については、これまで誰も責任を問わておられず、裁判もまた行われません。
世界は、ジャーナリストが公開した、ガザでシオニスト政権の行う犯罪の動画や映像を沈黙とともに見守っていますが、この先これらのジャーナリストの何人がガザの人々の声を伝え続けられるかは、明らかでないのです。