国際決済で増加しつつあるドル離れ、他通貨の台頭
他国との国際決済・取引で、米ドル使用を拒否する国が増加しています。
これについて、中国の英字紙・グローバルタイムズによりますと、米国が自国の利益だけ心配し、自らの政策の押し付けを拒絶するすべての者の財政資金の取り上げが可能であることを世界に示した結果、さらに多くの国が国際決済におけるドルの支配を拒否せざるを得なくなっている、ということです。
また、その例となるのは、かつてない制裁を課せられているロシアだとしています。
同紙はさらに、FRB米連邦準備制度は、自国の利益しか考えておらず、同時にしばしば金融政策を誤り、金利引き上げなどによりインフレ危機を引き起こしていると指摘しています。
その結果、特にメキシコやアルゼンチン、タイ、韓国、ギリシャ、トルコ、スリランカは、ドルベースの国際金融システムにより、ここ数十年、資本流出や対外デフォルトなど深刻な経済問題に直面しています。
同紙によれば、このような状況から、多くの国が自国通貨での取引を積極的に試み、SWIFTから他の決済・貿易決済システムへの移行を余儀なくされているということです。
グローバル・タイムズ紙はさらに、「かつてない西側による金融・経済制裁に憤慨したロシアは対ドル依存を断つため、西側の制裁と世界の金融システムの米ドル依存に対して反撃に転じた」と報じました。
その最初の策が、すべての「非友好国」にロシア産の燃料に対するルーブル払いを求めたことであり、それによりロシアの通貨ルーブルが急速に安定しました。
こうして、西側によるかつてない規模の対露制裁は、今後、ますますドルの支配を弱め、国際通貨システムの細分化を引き起こす恐れがあると、同紙は指摘しています
グローバル・タイムズ紙によれば、こうしたロシアの大胆な行動は、他の BRICS 諸国を自国通貨での貿易拡大の検討へと促しています。また、ロシアに倣う国は増加傾向にあり、IMF国際通貨基金によると、2022年第1四半期には、世界の中央銀行の外貨準備に占める米ドル資産の割合は 58.88% にまで低下したということです。
同紙は、「ドルの覇権から抜け出た他の国を非難する国は、米国だけしかいない。過去70年間のドルの支配で、米国は世界貿易体制の支配者となったが、今、変化の時が到来した」と結論付けています。
ドルの力を頼りにしてきた米国が他の通貨の台頭により、世界の変化の中で逆に孤立する道を歩むのか、今後の動向が注目されます。