世界における難民増加についての国連の報告
国連難民高等弁務官事務所が、世界難民の日に新たな報告を発表し、「2015年末の時点で、世界の難民の数は6500万人を超えた」としました。
IRIBミールターヘル解説員
2015年、世界の難民の数は、前の年に比べて580万人以上増加しました。軍事的な衝突と内戦が、その主な原因です。移民に対する政治的な感情もまた、難民の受け入れを滞らせています。
専門家らは、冷戦後、アメリカとソ連の対立を原因とする国際的な紛争の数が大幅に減少すると考えていました。しかし実際は、ソ連崩壊後も、世界中で、地域の対立や国内の紛争、緊張が目にされています。これらの戦争や衝突の異なる背景についてはさておき、これらは皆、ある現象が生じるきっかけとなっています。その現象とは、現在、世界レベルに広がっている世界各地からの数千万人という難民の問題です。難民の多くは、自分の国を脱出し、ヨーロッパの安全な地域に渡ることを求めており、この難民危機は、過去に前例のない規模となっています。この問題は、難民の状況を整え、彼らが祖国に帰るのに適した土台を作るための国際協力を必須のものにしています。
こうした中、現在、世界が目にしているのは、情勢不安を作り出し、こうした難民問題の元凶となった国々が、調和の取れた政策や対策を取っていないことです。例えば、情勢不安や殺害を逃れるため、トルコや地中海からヨーロッパに渡ろうとする中東や北アフリカの大量の難民の発生です。その数は、2015年、120万人を超え、EUを、創設以来最大の危機に直面させています。
実際、難民への対処は、EUにとって新たな問題となっており、加盟国の対立の要因ともなっています。そしてこの問題は、アムネスティインターナショナルなどの人権団体の強い反発を招いています。アムネスティは、声明の中で、何百万人という難民への不適切な対応を理由に、西側諸国の首脳を批判し、この問題を解決するために世界の国々が緊密な協力を行うよう求めました。実際、世界に大量の難民が生まれたことによる危機は、第二次世界大戦後、最大の世界的な危機と見なされています。こうした中、国際社会が難民危機を正しく理解し、それを重要な国際問題として捉えない限り、それを克服するための適切な方法を見出すことはできないのです。