ロシア国防相、「クリミア付近の無人機飛行は事態悪化を加速」
ロシアのショイグ国防相が、オースティン米国防長官と電話会談した中で、米軍の無人機がクリミア半島沿岸を飛行することは、事態をエスカレートさせるとの懸念を伝えました。
ロシア・スプートニク通信が同国国防省の発表として16日木曜、報じたところによりますと、米軍の戦略的無人機「グローバル・ホーク」がクリミア半島沿岸を飛行することは扇動的特徴を持っていることから、ロシア側は米国側に対し、 黒海海域の情勢を悪化させかねないとの懸念を伝えたということです。
その上でロシア側は事態の悪化を望まないものの、扇動行為には相当の対応を行うとけん制しました。
なお、核大国は最大限の責任を持って行動する義務があり、その中にはあらゆる危機的状況を議論する上での軍事的チャンネルの維持も含まれると表明しました。
この会談の中で両国防相は、無人機が墜落した原因についてそれぞれの意見を表明した模様です。ロシア側の発表では、事故の原因は特別軍事作戦を実施する関連でロシア側が事前に通知していた接続空域を米軍側が守らなかったこと、およびロシア連邦の利益に反する偵察行為の強化だったとしています。
これに対しオースティン国防長官は透明性と連絡の必要性を指摘した上で、米国は国際法で認められている地域での飛行を今後も継続するとし、ロシア側には専門的レベルの安全飛行を行うよう要請しました。
今回の国防相レベルの電話会談は、米国側の要請で行われたということです。
ロシア国防省によりますと、現地時間の今月14日朝、米軍の無人機「MQ-9」がクリミア半島近くのロシア領空に接近し、黒海上の暫定的空域使用体制で定められた境界線を侵犯しました。
これを受けてロシアは戦闘機をスクランブル発進させて対応しましたが、その後「MQ-9」は制御を失い海面に衝突したため露戦闘機は無人機に対して攻撃兵器を使用しておらず、接触もなかったとしています。
一方、米側は「MQ-9」の墜落は露戦闘機の接触によって起こったと主張しています。