デンマークに世界最大の脳標本コレクション、精神医療の暗い過去
(last modified Sun, 07 May 2023 08:44:39 GMT )
May 07, 2023 17:44 Asia/Tokyo
  • デンマーク・オーデンセの南デンマーク大学
    デンマーク・オーデンセの南デンマーク大学

デンマーク・オーデンセの南デンマーク大学(の地下には、世界最大とされる人間の脳の標本コレクションが存在します。

フランス通信が7日日曜、報じたところによりますと、ここには1945~82年に、精神疾患だった人の遺体から検視後に除去・採取された脳の標本9479点が収められており、ホルマリン漬けにされた脳が入った大きな白いバケツには番号が振られています。

このコレクションは、著名デンマーク人精神科医エリック・ストレームグレン氏が生涯をかけたものです。

これについて、コペンハーゲン大学で精神医学史を研究するイェスパー・バクシークラー氏は、脳の収集は「一種の実験的研究」だったと説明しました。

デンマークでは過去に、脳の標本をどうすべきかについて長く激しい議論が交わされた結果、最終的に国の倫理委員会は保管し、科学研究に役立てるべきとの判断を下しました。

標本にされた脳の持ち主の一部は精神疾患と同時に脳の病気を患っていたことから、認知症、統合失調症、両極性障害、うつなどさまざまな疾患の研究に使われてきており、現在、四つの研究プロジェクトが標本を利用しています。

ストレームグレン氏ら研究チームは「これらの脳から、精神疾患の原因が存在する場所を限局したり、何らかの答えを見つけ出せたりするかもしれない」と考えていたということです。

デンマーク各地の精神科施設では、患者が死亡すると検視が行われ、患者本人やその遺族の同意なしで脳が採取されました。なお、そうした同意は不要でした。

しかし、検視の発達と患者の人権に対する意識の高まりを受け、脳の採取は1982年を最後に行われなくなりました

 


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