ウクライナ大統領が、さらなる支援期待し欧州歴訪
ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアと戦争中の自国に西側諸国がより多くの支援を行い、さらなる資金や兵器をつぎこむことを期待して、ヨーロッパ諸国を3日間にわたり歴訪しました。
ロシアとウクライナの戦争は2022年2月末に勃発しました。その後、特にアメリカを初めとした西側諸国がウクライナに武器を供与したことで、この軍事対立は激化しました。西側諸国と米国はさらに、ロシアへの制裁も発動しました。
これまでドイツ、ポーランド、イギリスといった国々は、レオパルト戦車や防空システム・パトリオットを含めた最先端軍事装備の供与、およびウクライナ兵の訓練などをして、ウクライナを支援してきましたが、ロシアの攻撃が激化しているのに合わせてゼレンスキー大統領は、さらなる支援を得ようとこのたび、ヨーロッパ諸国歴訪を行いました。
同大統領は今回、3日間かけてフランス、ドイツ、イタリア、バチカン、イギリスの各国を訪問しました。
フランスのマクロン大統領はゼレンスキー大統領との会談において、自国が必要な限りウクライナを政治的・財政的・人道的・軍事的に支援し続けるとともに、同国へ軽戦車や装甲車を供与すると約束しました。
この一方、米ニュースメディア・ポリティコは、フランス政府がこの時期においてウクライナへの戦闘機供与準備がないと発表していると指摘しながら、「マクロン大統領も、自国はロシアへ直接弾を撃ち込むような兵器をウクライナに対して供与しない、と述べている」と伝えています。
ゼレンスキー大統領はまた、イタリアのメローニ首相およびバチカンのフランシスコ教皇と、ウクライナ戦争開始以来初となる会談をローマで行いました。メローニ首相はこの会談で、ウクライナが戦争で勝利するために必要と考えるものをすべて提供すると約束しました。
バース大学で安全保障の講義を担当するパトリック・バリー(Patrick Bury)上級講師は、「ウクライナが攻撃を開始してそれがうまくいかなかった場合、支援は減少し、(ロシアとの和平)協議に向けた圧力が高まる可能性がある」と述べています。
ゼレンスキー大統領はさらにドイツを訪問しました。同国のショルツ首相はベルリン行ったゼレンスキー大統領との会談で、自国が必要とされる限りウクライナを支援すると、改めて約束しました。
ショルツ首相はまた、「ドイツは、最先端の軍事装備や防衛機器を入れると、ウクライナに約170億ユーロを支援している」とも述べました。
ゼレンスキー大統領は続けてイギリスも訪問し、ツイッターで「イギリスは陸・空の軍事装備供与においてトップである。この協力は今後も続くだろう」としました。イギリスのスナク首相は同大統領の到着前に、ウクライナへの新たな軍事援助を発表しています。
これに関連してロシア大統領府は、「ウクライナへイギリス製の新型兵器が供与されることは、さらなる破壊をもたらすことになる」と警告しています。