イスラエルに独自姿勢を貫くアイルランド
アイルランドが、同国議会でシオニスト政権イスラエルを犯罪政権とみなす決議が可決されたことを受け、EUの方針には同調せず独自の対イスラエル制裁を行使する意向を示しました。
【ParsToday国際】アイルランド議会は、イスラエルを「国際世論を目の前にガザでの大量虐殺に手を染める犯罪政権」と認定する決議を可決しました。この決議には法的拘束力こそないものの、政府に対してイスラエルに通商、渡航、外交上の制裁を課すことが求められています。
決議はまた、同国政府に対し、軍事分野におけるすべての対イスラエル取引の即時停止および、同政権への軍民両用品の輸出不許可、そしてイスラエルへ武器を輸送する航空機のアイルランド領空・空港使用の禁止措置を求めました。
アイルランドのマーティン外相は以前、同国として南アフリカによるICJ・国際司法裁判所へのイスラエル提訴に加わるという決定を発表しています。
アイルランド政府は独自の対イスラエル制裁を行使する旨を以前から表明していました。アイルランドのこの行動は、EU内のイスラエル支持派がアイルランドとスペインの取り組みを妨害した後になされたものです。これら2カ国は、スロベニア、ルクセンブルクとともに、欧州におけるパレスチナ人支援運動を形成し、特に食品や工業製品をはじめとするイスラエル製品のヨーロッパ向け輸出を阻止しようと努めていました。
EUはイスラエルにとって最大の貿易相手であり、両者間の昨年の貿易額は約500億ドルに達していました。一方、今年に入ってからアイルランド、スペインおよび他のいくつかの国は、EU・イスラエルの間のパートナーシップ協定の停止を要求しており、これはジョゼップ・ポレルEU外務・安全保障政策上級代表も支持しています。しかし、特にオーストリアやドイツといったイスラエル支持国が、それを阻んでいます。
アイルランドとスペインは、イスラエルによるヨルダン川西岸占領を違法とした7月のICJ判決を考慮して、EU・イスラエル間パートナーシップ協定が停止されるべきだと強調してきました。
アイルランドがEUに同調せず、独自の対イスラエル制裁に踏み切ろうとしているのはこうした流れでのことです。
アイルランドのサイモン・ハリス首相は約3週間前、「対イスラエル経済制裁の適用を目指し努力しており、ヨーロッパ諸国がこの決定の履行に協力すべきであると信じている」と表明しました。
専門家らによると、アイルランドはおそらくヨルダン川西岸のシオニスト入植地で生産された他の製品にもボイコットを行使する可能性があるとみられますが、これに対しEUは自圏内での緊迫化を望まないため反応を示さず、アイルランドに特別な処罰を科すことはないだろうとみられています。現在ある選択肢の一つは、グリーンライン(1949年の第一次中東戦争停戦ライン)の外側にあるヨルダン川西岸のシオニスト入植地で生産された食品や商品の輸入を禁止することであり、アイルランドの推計によれば、これらの商品の価値は年間100万ユーロに達するということです。
2023年10月7日にイスラエル側がガザ攻撃を開始して以来、同政権へのボイコットを支持する運動の舞台は大きく変貌しました。この作戦とその後のガザ戦争の結果、対イスラエル・ボイコット運動と親パレスチナ組織の長期的な目標の一部が達成されました。ガザ戦争が始まって14カ月が経過した現在、ヨーロッパや中南米を含む西側諸国においても、さまざまな分野での対イスラエル制裁が拡大しており、シオニスト指導者らの悪夢は、イスラエル政権のさらなる孤立化において現実のものとなってきています。