なぜドイツはイスラエルの犯罪を必要とするのか?
ドイツがジェノサイドを続けるイスラエルを支持するのは、ホロコーストへの贖罪意識からではありません。そこには全く別の理由があります。
昨年10月7日以降、ドイツほどイスラエルのジェノサイドを支持し、国内のパレスチナ支持デモを弾圧した国はなかった。現在、ドイツ国内でパレスチナ支持デモをしようものなら、警察による過酷な弾圧を受けることになる。
ドイツはイスラエル支持と反パレスチナの姿勢において、米国ですら追随を許さないようにみえる。何がドイツにそこまでさせるのか? 巨額に費用を投じてまでイスラエルを支援する理由は何か?
その答えはドイツの負の歴史にある。しかし、多くの人の想像とは反対に、ナチスによるホロコーストへの贖罪意識が理由ではない。残念ながら、ドイツはナチスを克服しておらず、ヒトラーを生み出した政策を放棄することもできなかったのだ。
ドイツは第二次大戦後、国家解体の危機にさらされたが、冷戦の勃発により救われた。
実際、ドイツの敗戦後、米国のトルーマン大統領はドイツの再軍備に反対し、同国の軍事産業の完全な解体を指示する。しかし、西ドイツは西アジアにおけるユダヤ人国家の建設を積極的に支持することでこれを免れ、1953年にはイスラエル政府に対する武器輸出という形でホロコーストの「賠償」を始める。
西側諸国もソ連への対抗に迫られ、1955年に西ドイツのNATO加盟を認める。これにより、ナチ思想やジェノサイド思想の一掃は骨抜きにされ、イスラエルの同盟国としての役割を任されるようになる。
ここで注意しなければならないのは、ナチスによるホロコーストは、ドイツが行った最初のホロコーストではないということだ。ドイツは1904年から1907年の間に、当時の南西アフリカで地元民族の人口の5割から8割を殺害している。
つまり、現在のドイツがイスラエルのジェノサイドを支持し続けているのは、こうした自らの負の歴史を相対化する意図によるものといえる。
ドイツ政府はイスラエルがいま行っていることがジェノサイドだと認識している。ショルツ首相は、イスラエルのガラント戦争相がガザ市民を動物に例えたことも知っているはずだ。ちょうどナチス親衛隊指導者のヒムラーがユダヤ人に対してそうしたように。