新世代の米共和党員の間で反イスラエル的な見解が強まっている理由とは?
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ホワイトハウス前で開催された反イスラエル・デモ
ガザ戦争の長期化に伴ってアメリカの世論に大きな変化が生じており、野党・民主党だけでなく与党・共和党にも影響が及んでいます。
【ParsToday】アメリカの政治専門紙「ザ・ヒル」は、シオニスト政権イスラエルに対する支持の問題についての米国共和党員間の世代間格差を検証し、「米国の右派や共和党員の間でさえ、対イスラエル支持に関しては古い世代と新しい世代の間に違いがある」と報じました。
共和党は伝統的にイスラエルを断固として支持してきましたが、若い右派の間ではイスラエルに対する懐疑心、さらには反シオニスト感情が高まっています。複数の証拠資料によれば、共和党によるイスラエルへの伝統的な支持は世代によって分かれており、高齢世代は依然として徹底した親イスラエル派である一方、若い世代はより懐疑的で「アメリカ政府は干渉主義的なアプローチを止めて自国の利益を優先すべきだ」と考えています。
アメリカの世論調査会社ピュー・リサーチ・センターの調査によれば、50歳未満の共和党支持者の間ではイスラエルに対する否定的な見方が、2022年の35%から2025年には50%に増加しています。また全人口においては、米国市民の53%がイスラエルに対して否定的な見方を持っており、これは2022年の42%から増加しています。
イスラエルがガザで「ジェノサイド」を行ったと非難した共和党議員の1人に、ジョージア州選出のマージョリー・テイラー・グリーン下院議員がいます。また、同じく共和党員であるケンタッキー州選出のトーマス・マッシー下院議員は、「これまでアメリカの対イスラエル支援に疑念を抱いていた人々が、今では恐れることなく声を上げてその疑念を表明している」と考えています。マッシー議員は「イスラエルは貧困ではなく、財政援助も必要としていない」と繰り返し述べており、「対イスラエル支援法案に反対する度に反ユダヤ主義という批判文句を繰り返し使うのは愚鈍だ」と主張しています。
イスラエルによるガザ攻撃とパレスチナ人の大量虐殺、そしてガザ戦争中のシオニスト政権による前代未聞の犯罪続行は、2020年の米国での反人種差別抗議以来、広範な国民の抗議の波とかつてない学生運動を引き起こしました。これらのデモと座り込みは、ガザにおけるイスラエルの犯罪、特に大量虐殺、同地区での兵糧攻めや飢餓を武器として使用することに抗議し、即時停戦と対ガザ援助の増額を要求する目的で行われています。ガザへの援助は、米国政府からの否定的な反応に遭遇し、これらの抗議行動への参加者らが処罰されているものの、多かれ少なかれ現在も続いています。こうした抗議行動には、学生に加えて、初めて相当数の大学教授や管理者も加わりました。
アメリカ社会におけるパレスチナ人、さらにはパレスチナ・イスラム抵抗運動ハマスへの支持の高まりという文脈において重要な問題は、若い共和党支持者を含むアメリカの「若者世代」の態度の変化です。彼らは近い将来、政府、メディア、教育機関の要職に就き、家庭を築くことで次世代の育成を担う世代に他なりません。現在、パレスチナ情勢に対するアメリカの若者世代の態度の変化は、米国による対イスラエル大学制裁の強化にも顕著に表れています。
もっとも、世論調査の結果から判断すると、アメリカ社会においても、イスラエルとパレスチナ人に関する伝統的な固定観念に基づいた同様の変化が、徐々にではあるが起こりつつあると言えます。アメリカ社会におけるパレスチナ人支持の高まりは、イスラエルの非人道的な政策と行動が明らかになりつつあることの一つの結果です。したがって、ガザ紛争の継続、そしてそれに関連する事件や報道、特に女性や子供の殺害・殉教、そしてガザの人道危機に関する国際機関の報告の公表に伴い、アメリカ世論、特に同国の若者の間のパレスチナ人支持はさらに高まることが予想されますが、これはトランプ現政権とイスラエルにとって好ましい状況ではありません。
イスラエルとパレスチナに対するアメリカの若者世代の見解の変化は、同国の政治・社会システムにおける新たな現象と言えます。第2次トランプ政権時代において、パレスチナ人への支持を理由にイスラエルに批判的な学生、学生団体、大学教授らが厳しい扱いを受けたことから、西側諸国、とりわけ人権と表現の自由に関するアメリカのスローガンと主張が虚偽であることが改めて浮き彫りになりました。そして今、世論調査の結果によれば、こうした態度の変化は、伝統的にアメリカ社会の保守層とされてきた共和党支持者の若い世代にも及んでいます。これは共和党員のドナルド・トランプ現大統領にとってだけでなく、共和党支持者を含むアメリカ人の間で以前のような社会基盤を失ったイスラエルにとっても警鐘となるのです。