トランプ大統領の20か条の対ガザ計画:ガザ戦争での敗北からイスラエルを救う工作
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トランプ米大統領(右)とネタニヤフ・イスラエル首相(左)
地域の複数の抵抗組織から見て、ドナルド・トランプ米大統領の対ガザ地区計画は、ガザ戦争におけるシオニスト政権イスラエルの敗北阻止に向けた計画的な動きだと考えられています。
パレスチナ・イスラム聖戦運動および、イエメンのイスラム抵抗組織アンサーロッラーは、トランプ米大統領のガザ計画について、ガザ戦争でイスラエルを敗北を救おうとする試みだとする考えを示しました。
パレスチナ・イスラム聖戦運動のズィアド・アル=ナハレ事務局長は「トランプ米大統領とネタニヤフ・イスラエル首相の記者会見での発言は、占領継続の指示である」と語っています。同事務局長はさらに、「イスラエル政権は、自らが戦争で達成できなかったことをアメリカを通して叶えようとしている。したがって、我々はこのアメリカ・シオニストの計画の発表を、地域を爆破するための指示とみなす」と述べました。
また、アンサーロッラーの幹部の1人、モハンマド・アル・ファラ(Mohammad al-Farah)氏も「トランプ大統領のガザ停戦に関する新たな計画は不公平かつ実行不可能だ」とし、「この計画の目的はパレスチナ・イスラム抵抗運動ハマスを孤立させ、イスラエル占領政権に対する世界の諸国民の怒りを鎮めることであり、実行メカニズムが存在しない」と強調しています。
多くのアナリストやパレスチナ抵抗組織からは、トランプ大統領の20か条の対ガザ計画はガザ戦争におけるシオニスト政権を軍事・政治的敗北から救おうとする工作だと見られています。シオニスト政権はガザ戦争において、抵抗勢力のインフラの完全破壊、シオニスト捕虜の解放、ガザ周辺のシオニスト入植地の治安回復といった軍事目標を達成できていません。ハマスの武装解除と国際機関へのガザ委譲を中心とするトランプ大統領の計画は、実際には政治ルート上の同じ目標を達成しようとする試みに過ぎません。
この計画は、パレスチナ抵抗組織の完全な武装解除および、彼らをガザ地区行政から排除することを求めており、これは、シオニスト政権と米国が戦場での主役の排除を狙っているものの、戦場ではそれが実現していないことを物語っています。
この計画では、GITAガザ国際暫定行政機構と呼ばれる機関を設立し、トニー・ブレア元英国首相がGITAのトップを務める用意があるということです。イスラエルおよび米国と緊密な関係を築いてきたトニー・ブレアを長とするGITTAという機関の設立提案は、西側諸国と連携した国際機構を通じたガザ支配の試みを示唆していますが、これはある意味でパレスチナの人々と抵抗勢力の意思を無視した措置だと言えます。
ガザ住民をヨルダンやエジプトなどの他国に移住させるという提案は、抵抗勢力からは「民族浄化」や「強制追放」と解釈されています。この計画には、イスラエル軍がガザの占領地から撤退する具体的な時期は含まれていないため、抵抗勢力は、この提案をイスラエル政権に対する国際的な圧力を弱めるための単なる政治的策略だと見なしています。
抵抗勢力の観点から見れば、トランプ氏の計画は危機の解決策ではない上、ガザ戦争での敗北からイスラエルを救い、米国とシオニスト政権の意志をパレスチナ国民に押し付けようとする試みでしかありません。この計画はシオニスト政権による占領終結ではなく、逆にこのプロセスを永続させるものと思われます。
パレスチナの抵抗組織や多くのアナリストの視点で見れば、トランプ大統領の提唱する20か条の対ガザ計画は、その構造、内容、目標においてパレスチナ人の歴史・人道面、および正当な要求を無視し、主にシオニスト政権と米国の利益を考慮しているため、パレスチナ人の正当な権利を保証するものではありません。
パレスチナ人の真の参加なく、ガザ地区やヨルダン川西岸地区の人々と協議するメカニズムも存在しないまま策定されたトランプ氏計画は、国際法の基本原則である「民族の自決権」に明らかに違反しています。この計画は抵抗勢力の完全な武装解除を求めているものの、イスラエルによる占領の終結、入植地建設の停止、パレスチナ難民の帰還といった保証は一切示しておらず、パレスチナ人の安全と独立の保証なしに、パレスチナ抵抗勢力の防衛手段を奪うものだと言えます。
このことから、トランプ大統領の計画は、ガザ戦争での敗北からイスラエルを救い、地域におけるアメリカとシオニストの利益に基づいた新体制を強制するための手段にすぎず、パレスチナ危機に対する正当な解決策を提供するものではないと言えるのです。