パキスタンはイランの平和的核活動を支持しているのか?
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パキスタン外務省のムハンマド・タヒル・アンドラビ報道官
イランの隣国パキスタンの外務省報道官および、同国のある重要なシンクタンクがイランの平和的核活動に対する支持を表明しました。
パキスタン外務省のモハンマド・タヒル・アンドラビ(Muhammad Tahir Andrabi)報道官はイランの核問題に関して、緊張の扇動や反外交的な行動への反対というパキスタンの原則的な立場を強調し、「わが国はイランのウラン濃縮の権利、JCPOA包括的共同行動計画(通称;対イラン核合意)及び国連安保理決議2231の復活を支持する」と語っています。
アンドラビ報道官は今月21日、パキスタン首都イスラマバードで週ごとに行われる定例記者会見で「パキスタンはこれまでイランの核施設に対する一切の外国の軍事行動にも反対する旨を表明しており、またイランとの対立や反外交的アプローチを全てを拒否するという立場を改めて強調する」と述べました。
また「パキスタンは、ここ数カ月間の国連安保理における決議2231号および、韓国提案の対イラン制裁解除継続に関する別の決議を支持しており、この問題解決に向け対立や制裁というアプローチを採用すべきではないと考える」としています。
さらに「パキスタンとして、イラン・イスラム共和国のウラン濃縮の権利および、国際規範・慣行に従った責務を支持する」と強調しました。
加えて、パキスタン第2の都市ラホールでは同国空軍傘下のCASS航空宇宙安全保障研究センターの主催により「核不拡散体制下におけるイランの権利と義務」と題する円卓会議が開催されました。この会合では、多数の軍関係者や核不拡散分野の専門家らが、イランに対するシオニスト政権イスラエルと米国の侵略の結果について警告し、「イランはNPT核兵器不拡散条約の枠組み内での義務に一度も違反したことはなく、この条約の抜け穴や矛盾を暴露したに過ぎない」と強調しています。
パキスタン政府がイランの平和的核活動を支持していることは、両国の友好関係と共通の利益という文脈で捉えることができます。イラン東部に隣接するイスラム教国のパキスタンは、地域・国際舞台において常に、核エネルギーの平和的利用に関するイランの立場の擁護に努めてきました。その理由としては外交政策、エネルギー需要、安全保障および経済上の配慮といった複数の要因が指摘されています。
第1の理由として、核技術を平和目的に利用する国家の主権的権利の原則が挙げられます。イランはNPTの締約国であり、この条約に基づき、発電、科学研究、医療目的で原子力エネルギーを利用する権利を有しています。パキスタンは、核開発計画経験を持つ国として、他国からのこの正当な権利剥奪が差別的であり、国際正義の原則に反することを十分に認識しています。
第2の理由は、地域のエネルギー需要です。イランとパキスタンは共に、持続可能なエネルギー供給の分野で深刻な課題を抱えています。イランの平和的核開発計画を支援すれば、エネルギー分野における共同協力への道が開ける可能性があります。イラン・パキスタン間ガスパイプラインのようなプロジェクトは、両国がエネルギー供給のための共同インフラの構築を目指していることを物語っており、イランの核技術開発はこの協力を補完するものです。
第3の理由として、政治および安全保障上の配慮が挙げられます。パキスタンは、核分野でイランを支持することにより世界各国に対し、地域諸国には自決権があるべきだという明確なメッセージを発信しています。また、この支持により、国際機関やイスラム諸国の会合におけるイランとパキスタンの立場を強化し、外圧に対するイスラム諸国間の結束を強めることになります。
4つ目の理由として、イラン・パキスタン間の歴史的・文化的結びつきが挙げられます。この両国は宗教、文化、言語の面で深い結びつきを持っています。イランの平和的な核開発計画を支持することは、この結束と相互信頼の象徴であるとともに、貿易、教育、技術といった他の分野においても両国間の関係を拡大する可能性があります。
最終的に、パキスタンによるイランの平和的核活動への支持は、国際法の原則とエネルギー需要に基づいているとともに、隣接する二つのイスラム教国間の政治的・文化的融合を反映したものだと言えます。この支援は地域協力のモデルとなり、南・西アジアにおける安定と持続可能な発展の創出に寄与することが考えられるのです。

