軍事的脅威から石油封鎖まで、米の対ベネズエラ戦略の行方は?
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ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領(右)とドナルド・トランプ・アメリカ合衆国大統領(左)
英紙フィナンシャル・タイムズが「トランプ米大統領は南米ベネズエラの石油封鎖で同国の政権交代を狙っているものの、この石油戦争が成功する見込みは低い」と報じました。
フィナンシャル・タイムズは「トランプ大統領がベネズエラの原油輸出を全面的に封鎖すると発表したことで、ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領は、大統領就任以来最も深刻な試練に直面している」と報じています。
【ParsToday国際】しかし、ファールス通信によりますと、専門家らはアメリカがこの反米指導者を排除するためには直接的な軍事行動を取らざるを得なくなる可能性が高い」との見解を示しています。
トランプ大統領は今月16日、マドゥロ大統領の「革命的社会主義」政権を外国テロ組織だと宣言し、ベネズエラに出入りする石油タンカーをアメリカの制裁対象として「全面的かつ完全に封鎖」すると宣言しました。
トランプ氏はこの決定実行を目的とした中米カリブ海への米軍艦の配備に触れ、この軍事編成を「南米史上最大の海軍艦隊」だとしています。
この報道はまた「トランプ大統領の今回の行動は、先週米軍がベネズエラ沖で約1億ドル相当のベネズエラ産原油を積んだタンカーを拿捕するという前代未聞の襲撃に続くものだ。件の貨物の一部は、マドゥロ大統領の同盟国・キューバに向けたものだった。トランプ氏は今月17日にも『我々は誰であろうとこの航路の通過を許可しない』と断言している」と報じています。
これらの動向を受けて、ベネズエラへ向かっていた数隻のタンカーが途中で迂回させられ、同国海域で出航を待っていた船舶も遅延する事態となりました。このことは、複数の船舶追跡会社も確認しています。
複数の推計によれば、現役の米海軍の約4分の1が現在カリブ海に配備されています。米軍は、同国政府が麻薬密輸に関与していると主張する20隻以上の高速艇を破壊したほか、米軍の爆撃機や戦闘機はベネズエラ沿岸付近を繰り返し飛行しています。
スージー・ワイルズ米大統領首席補佐官は、トランプ氏は「マドゥロ大統領が最終的に降参するまで、十分な数の船を爆破したいと考えている」と語りました。この発言は広範には、ベネズエラの政権転覆というトランプ大統領の真の目的を示すものと解釈されています。
しかしこの報道はさらに、ベネズエラの石油収入の完全な遮断は容易ではなく、マドゥロ大統領はこれまで、代替収入手段や他の買い手への石油販路を通じて、かなりの度合いで圧力に対処してきたことを指摘しています。
さらに一部のアナリストは、石油収入の急激な減少は確かにベネズエラの経済・社会的不安定性の増大につながる可能性があるものの、この圧力が必ずしもマドゥロ政権の崩壊につながるわけではない、と見ています。
一方、国際舞台における他の勢力の役割も注目されています。特に、ベネズエラと長年にわたり政治・経済的関係を築いてきた中国とロシアは、外圧に対するマドゥロ大統領の抵抗能力に大きく影響する可能性があります。
これらの国々からの政治・財政的支援は、マドゥロ大統領が制裁の影響をかなりの度合いで緩和し、自政権の維持することに大きく役立っています。フィナンシャル・タイムズ紙はまた「マドゥロ大統領は第1次トランプ政権時代にPDVSAベネズエラ国営石油会社に行使された制裁を含め、これまでも厳しい制裁を乗り越えており、依然として生き残るための重要な複数の手段を確保している」と報じました。
ベネズエラの石油輸出の一部は、依然として継続されています。
ベネズエラの1日当たりの産油量100万バレルのうち約4分の1の輸送を担当する米石油大手シェブロン社は、依然として原油の採掘・販売許可を保有しています。同社は、ベネズエラにおける事業が「中断されることなく、米国政府の法律および制裁枠組みに完全に準拠して」継続されていると表明しました。

