解説;40ドルの原油、米国の幻想と国際石油市場の現状および経済変数の不整合
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解説;40ドルの原油、米国の幻想と国際石油市場の現状および経済変数の不整合
ガーリーバーフ・イラン国会議長が、40ドルの原油というスコット・ベッセント米財務長官の空想に反応し、「石油が高騰する前に、徹底的に暖をとるべきだ!」とコメントしました。
【ParsToday国際】モハンマドバーゲル・ガーリーバーフ国会議長は6日日曜、「X」内の個人ページへの投稿で、40ドルの石油に関するベッセント長官の空想に反応し、ベッセント氏が離陸して自由落下する揶揄的な挿絵を共有し、以下のように述べています;「飛び降りる準備をせよ。離陸する前に、次の複数の事柄に関して自らを徹底的に温める必要がある。
―アメリカの軽油価格が「史上最高値」に達した。今こそ考えるべき時である!
―米国債の最大保有国である日本が、大量の米国債を売却している。日本のこの経済政策はドル安を招き、あなたにとっての至福の時となるだろう!
ー世界最大の政府系ファンドを保有するノルウェーが、800億ドルの債券を発行する。何か真面なことをやったと言えるよう、ノルウェーを(カナダのオンタリオ湖のように)アメリカウェイに改名するのが得策である!
ー実際にはシオニスト政権イスラエルであるアメリカ国防総省の採用率は大幅に低下しており、人員不足に直面している。何とか手を打つべきだ。イスラエルの提案を利用して、債務免除と引き換えに若い米兵を募集してみてはどうか!
ーついに、FRB米連邦準備制度理事会の金融政策委員会のメンバーが赤い警告灯を点滅させ、将来のインフレと金利引き上げ(財務省の政策と矛盾)について語り始めた。何と奇妙な光景か!」
原油価格が1バレル当たり40ドルに下落する可能性についてのベッセント米財務長官の発言は、エネルギー市場の将来についての経済予測とみなすことはできません。これらの声明は、アメリカ政府の経済政策および地政学政策の文脈においてより重要性を帯びてきます。その理由は、安価な原油は米国のインフレとエネルギーコストを削減すると同時に、アメリカのライバル国を含む石油輸出国に対する経済的圧力を強化できるからです。この観点からして、ガーリーバーフ・イラン国会議長の反応、そしてベッセント長官の発言を「幻想」と解釈したことは、アメリカの望む目標と国際石油市場の複雑な現実との大きな隔たりに対する反応として評価できるでしょう。
多くの製品とは異なり、原油価格は単一の政府決定では決定できない、はるかに広範な要因によって左右されるのが現実です。世界の需給、在庫水準、過剰生産能力、世界経済の状況、OPEC石油輸出国機構およびOPECプラスの政策、地政学的動向、生産コスト、そして市場の期待など、すべてが価格決定に影響を及ぼします。したがって、たとえアメリカが政治、外交、あるいは経済分野での圧力によって価格動向に影響を及ぼせたとしても、原油価格を40ドルまで引き上げ、さらに重要なこととして、その水準を維持するには、非常に複雑な状況が必要となります。
重要な点は、たとえ原油価格が1バレル40ドルであっても、必ずしも米国にとって完全に有利な状況とは限らない、ということです。米国は近年、世界有数の石油生産国となり、その生産量のかなりの部分をシェールオイルに依存しています。石油業界は原油価格に敏感であり、価格が急激かつ持続的に下落すれば、企業の収益性、投資、掘削活動、ひいては米国内の生産量全体が減少する可能性があります。その結果として、米国の消費者に有利な政策が、一方では国内生産者に損害を与える可能性が出てきます。これこそは、米国政府が対処せざるを得ない「消費者にとっての安価な石油」と「国内生産維持に十分な価格」という根本的な矛盾なのです。
もちろん、米国政府にとって、エネルギー価格の引き下げは経済・政治の両面において非常に魅力的です。原油および石油製品の価格引き下げにより、輸送費と生産コストの削減、家計の購買力の向上、ある程度のインフレ圧力の緩和が可能になります。この点において、原油価格の引き下げはトランプ政権の国内経済運営を助け、国民の満足度を高めることにもつながります。しかし、この傾向があまりにも長く続けば、石油産業への投資削減は中期的に供給を制限し、将来的に価格が再び上昇する遠因となる可能性があります。したがって、原油価格を非常に低く安定した水準に維持するよりも、引き下げる方が容易なのです。
ガーリーバーフ国会議長の反応は、米国債市場とその主要保有者の動向にも言及しています。この問題が重要なのは、米国の経済政策が孤立して行われるわけではなく、アメリカが財政赤字の資金調達を海外投資家や他国の中央銀行に依存していることによります。米国債の需要減少や利回り上昇は、米国政府の借入コストを増加させる可能性があります。したがって、米国政府はインフレ、金利、公的債務、経済成長、そして債券市場の同時管理が必要になりますが、これらは必ずしも同じ方向に動くとは限りません。
インフレ問題もまた、特に重要な課題です。原油価格の下落はインフレ圧力の緩和に役立つ可能性があるものの、米国の財政政策、貿易政策、金融政策もインフレに影響を与えます。そのため、アメリカ財務省が掲げる経済成長の促進とエネルギーコストの削減という目標と、FRBが懸念するインフレと金利の抑制との間には、ある種の緊張関係が生じる可能性があります。言い換えれば、米国経済は相互に関連する様々な要因に直面しており、原油価格の下落を、それが経済の他の分野に及ぼす影響を考慮せずに追跡することは不可能だということです。
また、地政学的な観点から見ると、原油価格が1バレル40ドルであれば、米国にとってより魅力的な選択肢となりえます。原油収入の急激な減少は、輸出国への経済的圧力を高め、それが持続すれば、国内政策および外交政策を実施する財政能力が低下すると思われます。したがって、原油価格の下落は、アメリカのライバル国や敵対国に対する米国の経済的圧力という文脈でも解釈できます。しかし、このような政策は両刃の剣であり、産油国への深刻な経済的圧力は、政治的・経済的不安定、エネルギー分野への投資の減少、そして最終的には世界的な供給の混乱をまねきかねません。
これは、イランにとって重要性が倍増する問題です。イランは輸出制限や制裁にも直面しており、世界的な原油価格の下落は外貨収入をさらに逼迫しかねません。こうした観点から、ベッセント長官の発言は、経済・エネルギー関連の変数を利用してアメリカのライバル国や敵国への圧力を強めるという、より広範な取り組みの一環と捉えることができます。しかし、これがイランにどの程度影響を与えるかは、輸出量、市場状況、生産・輸送コスト、為替レート、そしてイランの石油収入管理能力といった要因によって左右されます。
一方で、「原油価格が一時的に40ドルになる可能性」と「40ドルの持続性」は区別する必要があります。深刻な景気後退や供給の大幅な増加が生じれば、世界の原油市場は大幅な価格下落に見舞われる可能性がありますが、価格を40ドルで安定させるには、需給バランスの根本的な変化が必要となります。生産者はそのような状況に直面しても受動的ではなく、生産量や投資の削減により対応する可能性があります。
したがって、ガーリーバーフ・イラン国会議長がベッセント米財務長官に「離陸前にウォーミングアップして自らを温めよ」と揶揄したのは、単なる政治風刺以上の意味を帯びています。その根底にあるメッセージは、「アメリカは原油価格40ドルを確実なものとみなす前に、そのようなシナリオに伴うコストと限界を考慮すべきだ」ということです。原油価格の下落はアメリカの消費者にとっては歓迎できるかもしれない一方、シェールオイル産業、エネルギー投資、国債市場、さらには世界経済の安定性にも影響を及ぼしうるものです。つまり、原油価格が40ドルであることは政治的な手段で達成できる単純な目標ではなく、その実現と持続性は、経済、金融、地政学的な様々な条件に左右される複雑なシナリオだということなのです。
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