安保理での核実験禁止決議の採択
国連安全保障理事会が23日金曜、全ての国に核実験の停止を求める決議を採択しました。
ミールターヘル解説員
この決議は、安保理で、エジプトが棄権し、賛成14で採択されました。法的な拘束力を持たないこの決議は、包括的核実験禁止条約締結20周年にあわせて採択されました。この決議はこの条約に署名、あるいは承認していない全ての国に対し、早急に核実験を停止するよう求めています。
包括的核実験禁止条約は1996年9月10日、多国間条約として国連総会で採択され、同じ年の9月末から署名が開始されました。この条約は加盟国に自国の領土、あるいは管理下にある場所での核実験を禁じる国際的な合意です。
包括的核実験禁止条約は、核実験に対処するために提示されましたが、IAEA国際原子力機関がこの条約を受け入れれば、この国際組織が各国により幅広く参入する可能性が整えられるでしょう。これにより、IAEAは各国に地震計を設け、様々な施設を設置することができるようになります。
これまで、世界各地で2000以上の核実験が行われてきました。包括的核実験禁止条約は183カ国が署名しています。これまで160カ国以上がこの条約に署名、批准しています。こうした中、一部の国は今も、署名、批准していません。一部の国、とくにアメリカや中国がこの条約の批准を控えていることがその実行を妨げています。1996年から現在まで、インド、パキスタン、北朝鮮などの一部の核兵器保有国が核実験を行ってきました。北朝鮮も今月、5度目となる最大規模の核実験を行いました。
また、包括的核実験禁止条約がこれまで実行されてこなかった主な理由は、リスト44の8つの加盟国が今もこの条約を採択していないことにあります。リスト44には、核兵器保有国や核物質輸出国が含まれており、彼らはこの条約を採択し、実行すべきです。こうしてこの条約は義務化と国際法規への変換に向け、核兵器、また核研究所を保有するこの44カ国の署名を必要としています。
この8カ国の筆頭にはアメリカがおり、彼らは各種の核兵器を保有すると共に今も核実験を続けていながら、NPT核兵器不拡散条約実行の筆頭者であることを訴えています。アメリカは1996年に包括的核実験禁止条約に署名しましたが、議会の上院がこれを承認していません。アメリカはこの条約の批准に向けた意志を何度となく表明していますが、この道において具体的な歩みを進めておらず、核兵器削減における自らの約束に反して、これまで同様、核実験や核兵器の配備の継続などにより、核兵器を拡散しています。
今回の安保理決議は、アメリカの共和党議員を怒らせています。アメリカの共和党上院議員は、年間3200万ドルを核実験禁止条約に関連して国連に拠出する許可を出さないと脅しています。オバマ大統領はこの条約を批准するのに、上院の3分の2の票を必要としています。