アジア太平洋におけるアメリカの軍事力の増強
アメリカのカーター国防長官が、アジア太平洋におけるアメリカの軍事力の増強は、中国の軍事力の増強に対抗したものだとしました。
ミールターヘル解説員
カーター国防長官は、30日金曜演説の中で、「アメリカは安全保障の点でアジア中心計画の次の段階の実行を追求しており、その中で、アメリカの安全保障の責務は変化し、この地域で拡大することになる」と語りました。カーター長官は、南シナ海の問題にも触れ、「アメリカが基本的に問題にしているのは、南シナ海の軍事化を防ぐこと、そしてこの海域の全ての関係国が国際法を遵守することだ」と述べました。
さらに、カーター長官はハワイでASEAN東南アジア諸国連合の国防大臣と会談した後、アメリカがアジア太平洋地域の将来に向けて計画している展望について語りました。同長官は二つのインフラプロジェクトについて語り、「アメリカは航行の安全を保障し、テロや過激派に対する共通の戦いを提案している」と述べました。
アジア太平洋の戦略的地域に関するアメリカ国防長官の立場や発言は、アメリカの同盟国がアメリカの利益に向けこの地域の重要性に注目していること、そして南シナ海における中国の行動への警告を意味しているようです。また同時にカーター長官は、中国の拡張主義への対抗に向け、同盟国を真剣に支持することを同盟国に確信させようとしています。現在アジア太平洋地域の問題、とくに中国と近隣諸国の海の対立問題において、アメリカは日ごとに介入を拡大しています。アメリカはこの枠内で、中国の近隣諸国への支持に立ち上がると同時に、これらの国との軍事関係を大きく拡大しています。
こうした中、こうしたアメリカの行動は、中国には明らかです。このため中国はロシアと共に、両国、そして上海協力機構の協力の枠内で、アメリカの軍事的脅迫に対抗するために共通の立場をとろうとしています。
アメリカのアジア太平洋地域への介入と、はっきりと中国を脅威と呼んだ新たな軍事戦略の表明により、中国は出来る限り自国の軍事力を拡大しようとしています。中国はこれに関して、ロシアの大規模な協力を受けています、同時に日本や韓国などでの新たなミサイルシステム配備と共に、アジア太平洋地域に艦艇の60%を集結させるといったアメリカの最近の軍事的行動により、中国やロシアはこれまで以上にアメリカの目的を恐れ、合同軍事演習の実施などにより軍事協力を強化しようとしています。
中国は現在、アメリカに次ぐ第2位の軍事・防衛費を有しています。こうした中、アメリカの関係者は常に、中国の軍事費の前例のない増加について警告を発しており、このような行動の目的を問題視しています。中国はここ数年、経済力の目覚しい拡大と共に、軍隊の近代化に向け大きな歩みを進めています。中国のこうした行動は、アメリカの地域での優勢への対抗、近隣諸国による脅威への対抗、何よりも国際的な優位の獲得のために行われています。この方向で、中国は、ミサイル、海、空における戦略的能力の拡大に集中しています。南シナ海の領有権に関する中国に不利な国際仲裁裁判所の判決にもかかわらず、中国は南シナ海での主権を安定させるために現在の政策を追求することが予想されます。明らかにこの問題は、この海域の領有権に関わる国々を支持しているアメリカの大きな反発を伴うことでしょう。