アメリカ下院の対イラン制裁案の可決、国際安全保障体制への宣戦布告
アメリカ下院が、予想された通り、イラン、ロシア、北朝鮮に対する制裁案を可決しました。現在、この法案に関する上院の決定が待たれています。
アメリカが、下院の法案可決によって、イラン、ロシア、北朝鮮に対してさらに攻撃的な政策を実施することが予想される中で、その目的を実現するためには、まだ障害が存在します。下院が対北朝鮮制裁を、イランとロシアに対する制裁案に盛り込んだことに対し、上院が不満を示しています。また、議会の制裁案を政府が法制化すれば、アメリカと、これら3カ国の間の敵対や緊張は激しさを増すでしょう。イランは、今回の行動は、アメリカの核合意への違反を示すものと見なすことができ、アメリカを合意前の状況に置くことになると考えています。また、核合意以外のイランの報復措置に遭うことになります。
イランのローハーニー大統領は、「イランは、アメリカ議会のイランに対する新たな措置に対して断固とした回答を与えるだろう」と語っています。ロシアについても、ロシアの金融、産業、経済力に影響を及ぼすための制裁の行使は、ロシア政府の強い反発を招くでしょう。ロシアは、アメリカやヨーロッパのその同盟国に対する金融、経済面での報復措置に加え、国連安保理での決定への拒否権の行使、東ヨーロッパや西アジア、北アフリカでの活動の拡大、通常・非通常兵器に関する合意の離脱など、国際安全保障体制を崩す力を有しています。
ロシアのリャブコフ外務次官は、「ロシア、イラン、北朝鮮に対する制裁法のアメリカ議会での可決は、アメリカとロシアを激しい対立へと導くものだ」と語っています。
こうした中、北朝鮮も、弾道ミサイルの生産と核兵器の能力向上を加速することで、アメリカの本土を核の脅威に晒す可能性があります。こうしたことから、恐らく法制化されることになる、今回のアメリカ下院の決定は、国際関係に対する宣戦布告であり、世界を混乱に陥れる行動と見なすことができるでしょう。