アゼルバイジャン領ナゴルノ・カラバフでの紛争の再開
(last modified Sun, 03 Apr 2016 11:14:01 GMT )
4月 03, 2016 20:14 Asia/Tokyo
  • アゼルバイジャン領ナゴルノ・カラバフでの紛争の再開

情報筋が、イランの北方アゼルバイジャン共和国領内にあるアルメニアの実効支配地域、ナゴルノ・カラバフで、アゼルバイジャンとアルメニアによる軍事衝突が発生し、両国軍の間での停戦が破られたことを明らかにしました。

ターレビー解説員

今回の衝突は、1994年の両国の停戦以来最大規模とされています。この衝突における双方の民間人、および兵士の犠牲者数はさておき、専門家は地域における戦争の継続が、地域に対する外国勢力の進出を許すことになり、互いに敵対するこの両国の損害になると見ています。その一方で、外国勢力とつながりのある過激派が現在の混乱した状態を悪用し、これまで以上に地域に付け入る隙が生じると思われます。

国境の緊張の激化が発表されると同時に、イラン政府はアゼルバイジャンとアルメニアの両国に対し、正式に衝突の自粛を呼びかけました。イラン外務省のジャーベリーアンサーリー報道官は、「地域では、過激派グループによる破壊行為が行われ、平穏と安定の確立が求められているにもかかわらず、ナゴルノ・カラバフでのこの両国の衝突の激化という由々しきニュースに、イランは懸念を募らせている」と語りました。また、「イラン政府は、わが国の北方に位置するこの2つの隣国に対し、事態をさらに困難にするような一切の行動を慎むよう勧告するとともに、衝突の即時停止により、国連や平和団体という枠組みでの双方の対立の平和的な解決に向け、全力を尽くすよう求める」と述べています。

専門家は、互いに国境を接する2つの国同士の衝突の継続は、地域諸国の政府の利益に反するのみならず、地域諸国の国民の利益にも強く反する、としています。言うまでもなく、緊張の継続は地域における混乱を拡大することになり、またそうした紛争はほかの地域にも飛び火する可能性があります。こうした中、地域諸国は安全と安定を強く必要としています。

専門家の見解では、欧州安全保障協力機構のミンスクグループはこれまで20年以上にわたり、ナゴルノ・カラバフ問題の終結にそれほど成果を挙げていませんが、現在これまで以上に事態を収拾し、危機管理を行う必要に迫られています。アメリカ、ロシア、フランスは、国連安保理常任理事国、そしてナゴルノ・カラバフ紛争の仲裁にあたるミンスク・グループとして、地域における一部の過激派組織の悪用や衝突の拡大を防ぐことが可能です。

特にこの2年間で、アゼルバイジャンとアルメニアの緊張が高まっていることから、この両国の衝突は常に激化する可能性があると予想されていました。仲裁にあたるミンスクグループが、度重なる停戦違反を無視し、この問題の表面的な部分だけに注目していたことから、両国の軍事衝突ラインで現在のような事態が発生しました。これ以前にも、この両国の間の緊張は一触即発の事態にあり、現在のような苦い事態に至ることが予測されていました。しかし、これまで、アゼルバイジャンとアルメニアの紛争において自らの政治、経済的な利益しか考えてこなかったミンスクグループは、現在危機管理により失敗の一部を挽回し、この危機が地域外に飛び火するのを防ぐことができると考えているのです。