視点
議会への襲撃・米国内でのテロ拡大の象徴
先日発生した米連邦議会襲撃事件により、改めてアメリカ国内でのテロリズム拡大の傾向や慢性的な問題が注目を浴びることとなりました。
今月6日水曜、米ワシントンDCにある連邦議会では、昨年11月の大統領選でのジョー・バイデン氏の当選の最終確認を行うための共同会合が開催されていました。その最中に、同議会前に集結したトランプ現大統領の支持者らが、同氏の直接の支持・奨励により議会内に乱入しました。この中で5名が死亡したほか、警察の要員ら9名が負傷しています。
先だっての大統領選で当選したバイデン次期大統領は、今回の事件に対する最新の反応の中で、武装したトランプ支持派らを「国内のテロリスト」だとし、またトランプ派集団に対し対応が甘すぎたとして、治安部隊をも非難しました。
バイデン氏の最近の発言は極めて重要な演説とみなされており、その真髄には、「遅延した自白」が隠されています。バイデン氏の表明が意味しているのは、彼がトランプ氏を国内テロの指導者とみなしており、またバイデン氏から見てトランプ氏もまたテロリストである、ということです。
こうした中、アメリカは2001年以来、テロとの世界規模での戦いを口実に西アジアに軍隊を派遣、軍事遠征し、アフガニスタンやイラクで数十万人の人々を殺害しました。トランプ氏もまた在任中に、テロリズムに対する矛盾した規準の枠組みで、国内テロに注意を払わなかったのみならず、最近、国内のテロリストを支持して、他者に自由を求める運動をテロリスト呼ばわりすることに集中しています。こうしたアプローチの最たる例が、イランに対するトランプ氏の立場表明です。トランプ氏はこれまでに何度も、イランを「世界最悪のテロ支援国家」だと呼んでいます。しかし、その一方で同氏は昨年1月3日には駐イラク米軍にとっての差し迫っての危険因子を名目に、無人機攻撃による故ソレイマーニー・イラン革命防衛隊司令官およびその同行者らのテロ暗殺を命令しました。この行動こそは、国家テロの代表例とみなされます。
しかし現在、武装したトランプ支持派集団が米議会を襲撃したことにより、バイデン次期大統領をはじめとする米政府幹部らはもはや、アメリカ国内のテロリズムが制御不能となっていることを認めざる得なくなった格好です。
アメリカ国内テロの根源は、数十年前にさかのぼります。同国では抗議する人々がこれまで、複数の大規模なテロ事件を引き起こしています。そうした最も重要な実例として、1995年に発生したオクラホマシティーでの州庁舎爆破事件が挙げられます。この事件の実行犯らは、当時の連邦政府の政策や行動に反対する国内の武装集団でした。実際、アメリカの国内テロの1つの要素は、保守的・右翼的な見解を有する過激派の個人や集団となっています。これらの個人や集団組織は、州政府の権限強化を提唱する人々に始まり、人種差別主義者や優越主義的な人々にまで及びます。
複数の統計からは、トランプ氏の在任中、極右的な武装集団による移民や少数民族、および宗教的少数派への攻撃が大幅に増加していることが見て取れます。
アメリカの政治家ピート・ブティジェッジ氏の文言を借りれば、アメリカは、トランプ氏によって奨励された人種差別・白人国家主義者によるテロ攻撃の標的になっているのです。
今回、米過激派の極右集団・プラウドボーイズのような、トランプ支持派が、議会の襲撃というアメリカでも前代未聞の行動に走りました。これにより、アメリカでは国内テロの危険性が日増しに高まっているという問題を改めてクローズアップさせた形となったわけです。
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