フランシス・フクヤマ氏、「議会占拠事件は米の国際的威信を低下させた」
1月 11, 2022 19:23 Asia/Tokyo
アメリカの著名な政治学者フランシス・フクヤマ氏は、2021年1月6日のトランプ前大統領支持者らによる議会襲撃事件で米国内の対立・分断はより深まり、今後数年でその影響が出てくるとの認識を示しました。
フクヤマ氏は「世界が我々から顔をそむけるのに、この1日で十分だった」と題する論説を米ニューヨーク・タイムズ紙に寄稿しました。その中で、「米議会襲撃事件は、国内的影響だけでなく多大な国際的影響も伴った。アメリカの世界的な影響力が目に見えて低下したということである」と記しています。
また、「トランプ前大統領に感化されたこの下品な攻撃は、米国政治における恥ずべき歴史となった。アメリカは南北戦争以来、平和的な権力移行に失敗したことはなかった。どんな候補者も、選挙結果の自由と公正さを証明する膨大な証拠があるにもかかわらず、悪意をもってそれを否定するようなことは一切なかった」としました。
そして、「アメリカ式モデルはかなり前から凋落傾向にあり、米国政治は1990年代半ばからかつてないほどに二極化し、恒常的な停滞に陥っている。それは予算可決などの政府の基本的な役割遂行にも支障をきたしている」と指摘しました。
フクヤマ氏はその上で、「昨年の議会襲撃事件はアメリカの民主主義にとって非常に懸念すべき汚点となった」と記しています。
昨年1月6日、トランプ前大統領の支持者数千人が議会による大統領選結果の承認を阻止するため、騒乱を起こし議会議事堂を襲撃しました。
この襲撃は、トランプ氏がウェブ上で扇動的なメッセージや動画を公開したことで行われたもので、少なくとも6人が死亡し、負傷者も多数出ました。