世界の軍事費が過去最高を更新、日本も1972年以来最大の伸びで7.3%増
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自衛隊
SIPRIスウェーデン・ストックホルム国際平和研究所が25日月曜発表したデータから、2021年の世界の軍事費は2兆1130億ドルと、初めて2兆ドルを突破し、日本も7.3%と1972年以来最大の伸びを示したことが判明しました。
イルナー通信によりますと、SIPRIは「新型コロナウイルスの世界的流行が経済面に影響したものの、各国は自らの軍備を増強しており、昨年の世界の軍事費は0.7%増加した」と発表しています。
SIPRIのディエゴ・ロペス・ダシルバ上席研究員は、「2021年の世界の軍事支出は7年連続で増加し、2兆1000億ドル(約270兆円)となり、過去最高額を更新した」と発表しました。
ウクライナ侵攻前のロシアと欧州も拡大しています。
欧州の軍事費総額は4180億ドルで、ロシアによるクリミア併合以降、急激に増加しました。
20年からは3.0%増加し、12年比では19%増だとされています。
ロシアはウクライナ国境沿いの戦力を増強したため、軍事支出を2.9%増やし、659億ドルとしました。これは3年連続の増加となり、GDP国内総生産の4.1%に達したことになります。
これについてダシルバ研究員は「世界平均を大幅に上回っている」と指摘し、「ロシアは軍事支出規模で米国、中国、インド、英国に次ぐ5位を維持した」としました。
また、「石油とガスの高収入が軍事費増に貢献した」と指摘、「ロシアの軍事費は、エネルギー価格の低下と14年のクリミア併合に伴う制裁が重なった結果、16年から19年にかけて減少していた」としています。

一方、ウクライナの2021年軍事費は59億ドル(約7600億円)で、約8%減となったものの、GDP比では3.2%を占めており、2014年のロシアによるクリミア半島併合後、ウクライナの軍事支出は72%増加しています。
2位の中国は4.7%増の推定2930億ドル(約37兆6600億円)で、27年連続の拡大となりました。中国の軍備増強を受けて近隣諸国も防衛予算を拡大しており、日本は7.3%増で、1972年以降で最大の伸びを示しています。
オーストラリアは4%増となり、同国の昨年の国防予算は318億ドルに達しました。
次いで3位のインドは0.9%増の766億ドル(約9兆8450億円)となっています。
4位は英国の3%増の684億ドル(約8兆7900億円)で、昨年比17%減のサウジアラビア(556億ドル)に代わって4位に浮上しました。
軍事費増の最大の影響は数年後に表れるとみられています。