ある疑問への回答 |米の地中貫通爆弾がイエメンの抵抗勢力には効かない理由とは?
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「米の地中貫通爆弾がなぜイエメンの抵抗勢力には効かないのか」という疑問への回答
米国は去る3月15日以来、イエメンに対して大規模な空爆を開始していますが、これはドナルド・トランプ氏が米政権に復帰して以来、西アジアにおける米の最も重要な軍事作戦であると考えられています。
トランプ大統領は同日に最終命令を出し、数週間にわたって計画されていたこれらの攻撃の開始を承認しました。これらの攻撃では、イエメン国内各地が数百回にわたり空爆されています。アメリカ軍はこれらの攻撃に、空母ハリー・トルーマンとカール・ビンソンに配備された攻撃機および、B-2型戦略爆撃機を使用しました。
米国防総省は最近、イエメン攻撃での使用を目的に、B-2爆撃機を含む複数機の戦略爆撃機をインド洋に浮かぶディエゴガルシア島の基地に配備しました。ちなみに、アメリカはジョー・バイデン前政権時代にイエメンに対しB-2爆撃機を使用した経歴があります。
アメリカの失敗
しかし、米国の空爆はシオニスト政権イスラエルに対するイエメンの抵抗作戦の継続を阻止できていません。アメリカの消息筋によれば、去る4月末までにイエメン領土に対し700回以上の空爆が行われたものの、これらの攻撃の最終的な結果は、イスラエルへのミサイル作戦を止めさせられなかったのみならず、空母ハリー・トルーマン率いる艦隊自体までもがイエメン軍によるミサイル攻撃中に、F-18スーパーホーネット戦闘機2機の損失などの被害を被る破目になったことでした。現在、この艦隊はイエメン軍の対艦兵器への懸念から、同国の海岸から1000キロ離れた場所に駐留しています。
これらの攻撃について注目すべき点の1つは、米国がイエメンに対しB-2爆撃機とGBU-57MOP爆弾(米国の最強の地中貫通爆弾)を使用して最強の空中抑止力を駆使したものの、奏功しなかったことです。同様にアメリカは、海上でもイエメンによる船舶の拿捕を阻止できていません。
効率的でないGBU-57大型貫通爆弾
GBU-57 MOP爆弾は重量が4万ポンド(14トン)にも及びますが、そのうち高性能爆薬、いわゆる爆弾の弾頭となるのは5000ポンド(約2.5トン)のみです。戦略爆撃機B-2「スピリット」およびB-52Hは GBU-57 爆弾を2個しか搭載できません。この爆弾は、5000PSI(重量ポンド毎平方インチ、1平方インチの面積につき1重量ポンド の力がかかる圧力・応力)の鉄筋コンクリートを最大61メートル、または1万PSI の超強度コンクリートを最大8メートルにわたり貫通でき、この点は極めて注目に値します。また、中硬岩への貫入深度は40メートルにも及びます。この爆弾の発射方法は、航空機が急降下しているときに高高度から爆弾を投下し、鉄筋コンクリートに深く侵入するために必要な加速を得るというものです。
アメリカ国防総省が主張するところでは、この爆弾は地中深くに埋められた、高度に防備を固めた一連の特殊な標的を破壊できるよう設計されており、地中深いトンネル内に設けられたコンクリート製の掩蔽壕や軍事施設を破壊できるといわれています。また、この爆弾には遅延信管が付いており、弾頭が貫通した後に爆発する仕組みになっています。
MOP爆弾は、地下施設や保護施設に対して使用できる最も危険な通常兵器です。この爆弾は寸法が大きく、レーダー断面積も大きくなっています(全長6.2メートル、直径70センチメートル)。
しかし、この爆弾を発射してもイエメンの地下施設に対しては奏功せず、イエメン側は攻撃を受けたトンネルの出入り口をすぐに修復しました。一方、この爆弾の使用結果は期待にかなうものではありませんでした。その理由はおそらく、イエメンが近年掘削したトンネルが特殊な位置にあり、そこに軍事装備を隠したためと考えられています。
米紙WSJウォールストリート・ジャーナルはこの点に関して、「米国のステルス爆撃機B-2は、地中貫通爆弾を使用してのイエメンのイスラム抵抗組織アンサーロッラーの地下ミサイル都市の破壊に失敗した」と報じました。同紙は衛星画像を論拠とし、「爆撃の標的となった地点に新たな入口が建設されていることは、地下施設の無力化を狙った攻撃が失敗したことを物語っている」と付け加えています。
イエメン軍の高官は、米国のB-2爆撃機によるイエメン攻撃について言及し、「これらの攻撃は奏功しておらず、米国が恐怖感を抱いていることの現れだ」との見解を示しました。この高官級軍事筋はレバノンのアル・マヤーディンTVに対しても、「イエメン攻撃にB-2爆撃機が使用されたことは、イエメン上空で戦闘機が撃墜されることや、同国の驚くべき防空力に対するアメリカの恐怖感を証明している」としました。さらに「今回の攻撃は武器庫を標的としたものではなく、量や種類の面でイエメンの武器能力に影響しなかった。これらの攻撃は、敵たるアメリカが紅海でイエメンのミサイルと無人機により商船が攻撃された後に受けた致命的な打撃に続くものである」とコメントしています。