ペルシャ語、その学術性
世界最大の引用文献データベース・スコーパスは、ペルシャ語の学術文献の数が2位繰り上がり、世界15位となったとしました。
研究者は、世界中で、新たな出版物を世に出すことで、学術研究の最新の状況とその成果を提示します。学術的な出版物は、学問の世界において情報交換を行う最も重要な手段とみなされています。国際的な引用文献データベースは、出版物をインデックス化し、これにより、このデータベースは世界の学問の重要な流れをカバーしているのです。
特定の国の言語による学術的な論文の生産は、その国の学問の発展の基準のひとつです。確かにこれに関して反論もあり、学術は国際的な言語で提示されるべきだといわれています。しかしこれに賛同する人々は、自国語による業績を、その成功の理由としています。
確かに、スコーパスやISIでインデックス化されている文献の大部分で使用されている言葉は、英語ですが、ほかの言語による論文もこれらのデータベースに登録されています。こうした枠組みによれば、論文は必ずしも英語で出される必要性はない上に、ほかの言語による論文では、論文のテーマや要約、参考文献、著者名などを英語で提示することが不要となります。あらゆる言語による論文を利用するためには、その言葉をよく知っていることが必要なのです。
イランの学術的社会における役割の中で、科学技術のための8つの大きな目標が明確化されており、そのうちの6つめとは、学術的な国際言語におけるペルシャ語の地位の向上です。この役割の中で、この目標に到達するためのさまざまな行動が列挙されており、その中には、外国人学生の受け入れ拡大、ペルシャ語による学術論文の作成、世界各国の大学におけるペルシャ語学科の創設、ペルシャ語の教育方法に関する改革などが挙げられます。
テヘラン大学のサーデギー言語学教授は、次のように語っています。「どの言語も、本質的には、さまざまな分野における学術的な概念を説明することができない。すべての言語はこの点で、等しい。特定の社会における学問と文化の発展は、その社会の言語が能力を獲得する結果をもたらす。学術的な発展の結果、新たな概念が生み出され、研究者はこの概念を説明するための新たな言葉を作り出し始める」
ペルシャ語の学術的な散文は、主に10世紀から12世紀の期間に記されましたが、このような散文によるすべての書物は、当時その言語が、すでに7世紀からの歴史を有していたことを示しています。イランの思想家は、その著作の中で、ペルシャ語による多くの数学や医学の専門用語を用いていました。
ペルシャ語の学術的な論文は、現在われわれが考えているように、歴史家のタバリー、科学者のアブーレイハーン・ビールーニー、医学者のイブン・スィーナーにより記され始め、記され続けました。この動きは10世紀から12世紀の間に始まり、そして13世紀、14世紀に頂点を迎え、天文学、数学、地理学、医学など、さまざまな分野で多くの学術的な著作が記されました。近現代では、これまでの70年間にわたり、ペルシャ語は、文化機関などの公的機関やさまざまな分野における大学教授の意識的な活動の結果、これまで以上に多くの専門における学術的な概念を説明するための発展を遂げています。
学術的な発展は、何もない中では生じることなく、また、言語的な環境を必要とします。特に、国の経済がナレッジベースとなっている現代において、流動的な言語の重要性が理解されることが必要とされています。
学術的な言葉は、話し言葉に合わせて、その特性を持つ形で使用されます。学術的な対話では、言語はもっぱら情報を伝える手段としての役割を持っており、文学的な特性を持つ象徴的な表現や比喩表現の出る幕はありません。
学術的な言葉にとっての理想的な状況とは、中立的で要旨を含む内容を明確な形で伝えることであり、このため、学術的な言葉は、明確なものである必要があり、またその現象や概念を正確に説明する言葉であるべきです。特定の社会においてこのような言葉を発見するのには、学術的な対話の実施と拡大が必要なのです。
学術的な対話の中で、次第に日常生活で使われる言葉や概念が入り込み、日常生活の中であいまいな意味で使われていた言葉の代わりに、その意味の正確さや明確さにより学術的な言葉が当てられたり、新たな言葉が作り出されたりします。このプロセスは、すべての学術分野で、基準となったその意味が受け入れられるところまで続きます。つまり、学術的な言葉を育てるのには、時間がかかり、それは社会における思考プロセスや文化が関係しているのです。一方で、学術的な発展や思想の転換は学術的な言葉の成長に影響を及ぼし、また一方で、学術的な言葉の成長は社会における学術や思想の成熟に影響を及ぼします。
言語は、社会文化にダイナミックな役割を果たし、個人や集団の思想に影響を及ぼします。18世紀のドイツの哲学者ヘルダーは、次のように述べています。「言語とは、ひとつの体系として、特定の集団に属するものであり、その集団に属する個人の世界観を形成する。言語とは単なる伝達手段ではなく、蓄積であり、その蓄積は多くの世代が経験や知識を集めたものであり、教育によって、次の世代へと伝達される」
ヘルダーはまた、言語が学術的な場合、思想はそれに伴うのみならず、むしろそれが基礎となるとしています。言語はそれによって私たちが思考する体系であり、われわれがどのように現実を理解するか、ひいては、われわれがどのように行動するかに影響しているのです。
言語の特性のひとつとは、バイタリティに溢れていることです。実際、人間の言語をほかの生物と異なる存在にしているものは、その言語の限りない創造性なのです。学術とは進化するものであり、進化のない学術に意味はありません。同じように、学術は独自の言語を有しています。つまり、学術的言語はこの進化を伴っています。われわれはペルシャ語の中に、イスラム法学、あるいは古の天文学の言葉を持っており、あるいは別のレベルでは、さまざまな言葉遊びを持っています。
最後に、知識や技術の伝達は、言語の整備なしには困難だということについてお話ししたいと思います。知識や技術の伝達は、国にとって必要であり、ペルシャ語は、学術的な言葉であるべきなのです。一般的な文化レベルの向上や、人々が新たな技術の文化を知ることは、学術的な言葉を通じて行われます。つまり、人々が現代の技術用語や学術用語を理解することなく、国が発展することは不可能です。言葉の伝達力がなければ、産業の独立は果たせないでしょう。独立と自給自足には学術的な言語が必要であり、伝統的な文化の保持と、その拡大と完成の下地作りは、学術的言語によってのみ可能となるのです。 ;">