2月 21, 2023 17:30 Asia/Tokyo

皆様こんにちは。このシリーズでは、イランで実際に使われているペルシャ語の生きたことわざや慣用句、言い回しなどを毎回1つずつご紹介してまいります。

今回ご紹介するのは、「1枚のハンカチのために大市場に火をつける」です。

ペルシャ語での読み方は、Baraaye yek dastmaal Qeisariiye raa be Aatesh keshiidanとなります。

この慣用句が意味しているのは、「価値のないものを手に入れるために何かあることに手を出し、大きな損害をこうむる」、または「自分の犯した過ちを埋め合わせるために何かを行って、かえって問題を大きくする」、「無駄なことを行って最終的に失敗に終わる」といった内容です。

なお、このことわざに出てくるゲイサリーイェという言葉は、1つの街路の両側にたくさんの商店が立ち並び、その街路の両端が市場への出入り口になっている形式の昔ながらの市場や商店街のようなものを指しており、特に中部イスファハーンにあるものが有名です。

さて、このことわざはある物語に由来しています。あるところに、布地を販売する店で見習いをしている若い男がいました。ある日、この男が働いている店に、彼の婚約者の女性がやってきて、店先につるしてあった非常に値段の高いハンカチに目をつけます。この女性は、このハンカチがとても気にいり、「あなたは私の婚約者なんだから、このハンカチを私にプレゼントにください」とおねだりします。男は最初は渋ったものの、結局、このハンカチを婚約者の女性にあげてしまいます。

さて、この女性が店から出て行った後、見習いの男は「しまった」と後悔しますが、もはや後の祭り。後で店長が戻ってきたらどんなにお叱りを受けるかわかりません。そこで、この男は自分のしたことをもみ消そうと、店内の片隅に火をつけます。火は瞬く間に燃え上がり、売り物の生地はもとより店そのものを、さらには店のあった大市場までも全部燃やし尽くしてしまった、ということです。

私たちの日常生活におきましても、価値のないものを手に入れるために、または自分の犯した過ちやミスを埋め合わせようとしてある行動に出たものの、それがかえって大きなトラブルや損害につながる、という事例は多々あるのではないでしょうか。そのようなことにならないよう、自らの言動には十二分に注意したいものですね。それではまた。

 


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