イランの芸術;シャーナーメ(王書)語り
偉大な英雄叙事詩人フェルドウスィーは、イラン文学において非常に大きな役割を果たしました。この詩人は、英雄叙事詩・シャーナーメ(「王書」)という偉大な著作を著すことで、純粋なペルシャ語の維持・伝承に努めたのです。
イラン国内各地には、この動画のようにフェルドウスィーの彫像が建てられています。
本日、私達はシャーナーメの朗吟の専門家であるサーデギーさんを訪問しています。
サーデギーさんは、イランの卓越したシャーナーメ語りの1人で、国内だけでなく外国でもフェルドウスィーの名著・シャーナーメの朗唱を行っています。
シャーナーメ語りは、いわゆる普通の英雄譚の語り部・ナッガーリーとは異なりますよね?
語り部という生業は、まだラジオ、テレビ、衛星放送などがなかった遠い昔に遡ります。人々はかつて、高齢者や若者が集まるコーヒーショップに出入りしていました。そこへある人が語り部としてやって来て、シャー・ナーメを朗吟していました。言い換えれば、その人物はシャー・ナーメの物語を語っていたのです。
シャー・ナーメが語られる際には小演劇も上演され、時には馬のいななく声を出したり、見物人の心にしみるような演技が行われ、
しかし、シャーナーメ語りでは、私たちはフェルドウスィー自身のように重々しく真剣でなければなりません。フェルドウスィが着ていたような服を着て、フェルドウスィーの外見をして、見物人にとってあたかもフェルドウスィーに見えるように朗吟する必要があります。
さて、ハミード・ジャザーイーさんはこれまで7年間に渡り、音楽に合わせてのシャーナーメの詩文の弾き語りに携わっており、シャーナーメ語りでは複数の登場人物の役を演じています。
はい、これまで数多くの国で実施してきました。
東はインドから西はフランス、ドイツ、アメリカ、アラブ諸国、タジキスタンなどのイラン周辺諸国までに至る国で、私たちは自費でシャーナーメ語りを実演してきました。
私たちがシャーナーメを世界中の人々に紹介しました。この名作が私たちの国民の身分証明書かつアイデンティティです。
これがイラン国民の考え方です。シャーナーメは私たちに人種差別を止めて世界中の人々を愛するように教示してきたのです。
シャーナーメ語りは、イランの文化と文学を紹介し広める上で良い方法です。歌と音楽ではどれだけシャーナーメの朗読を伝播させ、新風を吹き込み目新しさを与えることができたでしょうか?
当然のことながら、私たちは歌や音楽の助けを借りて、適切で詩歌的な雰囲気を作り出すように努める必要があります。
歌唱の部分では、概念的で重厚な歌詞を扱うため、至難の業となります。
私達は歌詞を音楽のようにして、聴衆が心地よく感じるような状況を作り出す必要があります。