ペルシャ語ことわざ散歩(219)「食べるためのパンがないのに、食欲増進のために玉ねぎを食べる」
皆様こんにちは。イランに伝わることわざや生きた慣用表現をご紹介する「ペルシャ語ことわざ散歩」、今回もイランの食文化の主役ともいえるパンにまつわることわざをご紹介してまいりましょう。
今回ご紹介するのは、「食べるためのパンがないのに、食欲増進のために玉ねぎを食べる」ということわざです。
ペルシャ語での読み方は、Yekii naan nadaasht bokhorad piyaaz mi-khorad taa eshtehaa-yesh baaz shavadとなります。
もしかすると、文字通りの意味から何となく本来の意味をご想像できた方もいらっしゃるかもしれませんね。
これは、自分がある問題を抱えているにもかかわらず、その問題を解決するのではなく、問題をさらに大きくする行動に手を出すことを意味しています。
例えば、その日の食物を確保するお金にも困っているような人が、お金遣いの荒い人と交友関係を持ち、お金持ちのような行動や生活をしたがる、と言った場合です。
そもそも、体の維持に必要な栄養源たっぷりのメインディッシュがない状態で、食欲をそそったら益々空腹を感じる、ということは容易にご理解いただけるかと思います。
また、このほかにも、そもそも乗馬用の馬を飼っていないのに馬の背に乗る鞍を求める、つまり、ある物事の肝心な部分や物ではなく、脇役的、付随的な物を求める、本業に精を出さずに遊び事や一時の快楽などにふけり、益々トラブルを増やす、という解釈もなされます。
実は最近、私の身の周りでこういう人を見かけました。その人は、まともな職業や定収入がなく、今後の生活設計も定まらず、まさに自分のことがきちんとできていないと思われる男性なのですが、何と婚活サイトで自分に見合う女性を探しているということでした。
この人の状況を見て、まさに今回のことわざにぴったりな人だと感じたのですが、いかがでしょうか。このような愚かな行動は避けたいものですね。それではまた。
この番組は、IRIBイランイスラム共和国国際日本語通信パールストゥデイがお送りしています。