インターネットが青少年に及ぼす影響(1)
今回は、インターネットが青少年に及ぼす影響について考えていくことにしましょう。
インターネットを使用する利点として、学術研究の質と量の向上、最低の費用で文字、音声、画像による通信ができること、時間と費用の節約、最新の学術的な研究が利用できることなどが挙げられます。ですが、この先進技術は数多くのメリットがありながら、使用者に対し様々な害悪ももたらします。この害悪の状況は、使用者の年齢により様々です。この先進技術に魅了され、また自分の時間の多くをこれに費やしているのは、青少年たちです。
インターネットは、学習活動や趣味、社会活動をはじめとする青少年の生活の重要な部分を占めています。青少年は、人生経験が浅く、また年齢的な特徴から、インターネットのマイナスの影響を強く受けています。この悪影響は、彼らの身体的、精神的な影響を脅かします。
青少年がインターネットを使おうとする動機の1つは、空き時間を埋めることにあります。多くの家庭も、これを歓迎していますが、彼らはインターネットを不適切な方法で使用した場合に、それがほかの娯楽よりもはるかに悪い影響をもたらすことに気づいていません。青少年は、スポーツ活動などの健全な娯楽に熱中していれば、倫理や思考力の成長に加えて、健全な身体にも恵まれることになります。さらに、彼らは長時間コンピュータの前に座っていることによる、関節の痛みや肥満といった多くの弊害からも守られます。
インターネットは、多くの青少年にとって一種の避難場所です。彼らは、色々な問題や苦痛から逃げるためにインターネットに向かうのです。心理学者は、その理由として、青少年の適切なアイデンティティが形成されていないこと、社会格差、世代の隔絶、親子関係の希薄化を挙げています。しかし、青少年の身体と精神の健康を脅かしているのは、インターネットの使いすぎや不適切な使用なのです。
インターネットの過度の使用が青少年に及ぼす最も一般的な影響は、学力低下、規則正しい食生活からの逸脱、緊張の高まり、実生活における社会活動の減少、友人や先輩との付き合いの減少、法律からの逸脱、いらだちやすくなること、神経性の頭痛などが挙げられます。
また、情報技術の不適切な使用は、学力低下を引き起こします。調査によりますと、インターネットの不適切な使用や中毒的な使用は、青少年の学習能力に悪影響を及ぼす可能性があるということです。インターネットや携帯電話、コンピュータ・ゲームといった先進技術により、多くの児童生徒や学生が、勉強に集中できないといった問題を抱えています。
教育関係者の間で強く懸念されている問題の1つは、生徒たちが宿題や自由研究などを行う際に、正しくない方法でインターネットを使用していることです。この先進技術により、生徒の多くは学校の宿題をする際に、バーチャル空間に入ったり、あるいは色々なサイトの情報をコピーすることで、最短時間で宿題を済ませてしまうのです。さらに、彼らの多くは調べものや実験に関してインターネットで検索し提出します。このことにより、子供たちの学力は日々低下しており、彼らが学校の宿題に当てる時間はますます減少しています。
調査からは、現在生徒はインターネットを最大の、そして最高の情報源と見なしており、彼らの90%が本を読むよりもインターネットの使用を優先していることが分かっています。しかも、彼らの多くは、数分間でさえも勉強のことを考えたがらず、インターネットの使用により答えを見出そうとしているのです。
特に青少年に対するインターネットの弊害の1つは、現実における他人との関係構築に必要なスキルが身につかないということです。サイバー空間においてニセのアイデンティティにより他人との関係を築いている人は、現実世界での対人関係において、必ず大きな問題に遭遇することになるでしょう。
青少年は、インターネット空間に入り、ここで他人と対話を始めます。しかし、彼らは次第に現実から遠ざかり、バーチャル空間での交流が現実の世界での人間関係とはどれほど違うかということを忘れ、矛盾した言動や妄想に陥ってしまいます。このため、青少年はバーチャル空間では現実世界での人間関係作りに必要なスキルを身につけることはありません。
世界各地での研究調査から、インターネットを過剰に使用している人は、通常の使用者よりもうつ病にかかる人が多いことが分かっています。一部の調査からは、いわゆるインターネット中毒に陥っている人は、不眠症や学習能力の低下、孤独感、身体の病気、うつ病、ストレス、などの問題を抱えていることが判明しています。
また、中国とオーストラリアの研究者による最新の調査結果からは、インターネットにのめりこんでいる青少年は、そうでない同じ年齢層の子供に比べて、行動障害が現れ、自傷行為に走る可能性が高いことが分かっています。例えば、中国で13歳から18歳までの1618人を対象に行われた行動調査の結果によりますと、彼らに見られるインターネット中毒には、自分の頭髪を引っ張る、自分に火をつけるといった行動が見られるということです。また、複数の調査からは、インターネット中毒に陥っている生徒たちは、そうでない生徒たちと比べて、自傷行為に走る確率がおよそ3倍に増加するとされています。
インターネットによる精神的、社会的な害悪の1つは、多感な青少年に対し、倫理的に好ましくない画像が提示されることです。さらに、インターネット上には性的な話題が出てくることも指摘すべきでしょう。こうしたいかがわしい画像や内容により、青少年はうつ病や異常な成長といった身体的、精神的な被害を受け、また性的、倫理的な違反行為に巻き込まれることになります。
青少年は、インターネットによる深刻な脅威にさらされていますが、それは彼らがほかの年齢層の人々よりも性的な衝動が強く、時には理性では感情や興奮をコントロールできなくなるからです。このため、不適切な画像や映像は青少年の性的な衝動を掻き立て、彼らを有益で必要な活動から遠ざけることになります。
さらに、インターネット上には見るに耐えない衝撃的な事故の映像や暴力シーンなども掲載されることを指摘する必要があります。こうした暴力シーンは、青少年の精神面での健康を脅かし、彼らが暴力行為に走る原因となります。犯罪的な内容の動画をみたり、暴力的な内容のゲームで遊ぶことは、彼らを興奮っせ、彼らや社会にとって危険なものとなります。この主張は、欧米諸国の学校でしばしば大惨事を引き起こしている暴力事件により証明されています。
バーチャル空間がもたらすもう1つの弊害は、偽りの異性の友人を見つけることです。こうした関係は、はじめのうちは表面的で些細なものかもしれませんが、次第に深いものとなり、不適切な関係の下地となって、深刻な逸脱行為や失敗の引き金となる可能性があります。