エスファハン州;チェヘルソトゥーン宮殿
これまで数回に渡り、イラン中部にある歴史と芸術の町、エスファハーンをご紹介してまいりました。今回ご紹介するのは、エスファハーンにあるチェヘルソトゥーン宮殿です。
かつて、ナグシェジャハーンと呼ばれていた、イマーム広場のそばにある、面積6万7000平方メートルの庭園の中に、チェヘルソトゥーンと呼ばれる非常に美しい宮殿が建てられています。この宮殿の大ホールは、サファヴィー朝の王、アッバース1世の時代に、外国政府の使節や大使をもてなすため、建設されました。チェヘルソトゥーン宮殿には、2つのホールと大きな池、そして背の高い20本の柱があります。建物の前にある大きな池にこの20本の柱が映り、40本に見えることから、この宮殿は、"40本の柱"を意味する「チェヘルソトゥーン」と呼ばれています。また40という数字は、ペルシャ文学の中では数が多いことを示し、エスラム文化でも、神聖な数字とされています。
チェヘルソトゥーン宮殿の建築には、イラン、中国、ヨーロッパの建築美術が融合されています。この建物には、東向きの大きなテラスがあり、幅38メートル、奥行き17メートル、高さは14メートルとなっています。宮殿のメインホールは、外国の要人や客人のための専用ホールとなっています。このホールの壁には、非常に美しい絵画が飾られています。そうした絵画の中には、サファヴィー朝のイスマイール王とオスマントルコ軍のチャルディランの戦い、ナーデルシャー・アフシャールのインド人との戦いなど、歴史的な出来事が描かれたものもあります。また別の部分にも、ヨーロッパ様式の絵画が見られ、それらは当時のヨーロッパの画家の影響を受けたものとなっています。
チェヘルソトゥーン宮殿のメインのテラスの天井は、幾何学模様の木の枠で囲まれた様々な絵画で飾られています。また建物には、非常に美しい鏡細工も施されています。チェヘルソトゥーンのメインホールの天井には、3つの黄金のドームがあり、それはイランの歴史上、最も優れた金細工の作品であると言われています。チェルソトゥーンの建物の天井に用いられている芸術は、非常に美しい木工細工、絵画、鏡細工、その他の芸術が融合されたものとなっています。この宮殿の歴史的な建物は、現在、イランの様々な時代の陶器、金属器、ガラス、書道の写本など、非常に貴重な作品が保管された博物館となっており、それがこの宮殿をさらに魅力的なものにしています。