4月 12, 2017 16:01 Asia/Tokyo
  • アルモスタファー国際大学
    アルモスタファー国際大学

今回ご紹介するのは、イランの宗教大学の一つ、アルモスタファー国際大学です。

イスラム社会における教育は、神の最初の節が下されたときに始まりました。神学校の主な基盤は、メディナの町で、預言者ムハンマドとその一門の存在により確立されました。預言者一門は常に歴史の中で、この知識の移転の拠点において、多くの困難がありながらも、神の託宣を伝える学生たちに教え、多くの学者や思想家、布教者を育てました。この神学校の中心は、メディナ、クーファ、バスラでした。この神学校はメディナを中心に強化されました。

神学校

 

9世紀から始まる次の時代において、バグダッドが神学校の初等教育の中心になります。トゥースィー師がバグダッドからナジャフに移住したことで、イスラムの思想の中心、預言者一門の教えの発信地は、現在のイラク南部のナジャフに移りました。イラク南部のヒッラ大神学校もまた、12世紀から14世紀に、ナジャフのそばに設立されました。この時代、テヘラン南部のレイやゴム、イランのその他の都市にも神学校はありましたが、規模は小さなものでした。

神学校

 

次の14世紀から17世紀の時代には、神学校は拡大しました。現在のレバノンのジャバルアメルでは、非常にしっかりとした神学校が設立されました。この時代、つまり17世以降、イスファハーン、レイ、ゴム、シーラーズの神学校が重要な拠点となりました。この時代には、イラクのサマラやカルバラの神学校も比較的良好な状態にありました。

 

14世から15世紀、バーレーンでも大きな神学校が作られ、重要な遺産を残しました。この施設とともに、イランのカーシャーンやホラーサーン、パキスタン、インド、その他の国の神学校も小規模ながら運営されていました。

イランのゴム神学校

 

神学校の推移の最後の段階は、現在のイランのゴム神学校の地位を強化しました。現在、この町とこの町にある神学校は、イスラム思想、天の純粋な思想、預言者一門の教えを発信する、イランの、そして世界の拠点となっています。この地で真のイスラムの復活に思想家や学者が貢献していること、イスラム学に関心のある人々を多数受け入れていることは、ゴムを、他の町よりも突出したものにしています。

アルモスタファー大学

 

現在、ゴムにあるアルモスタファー大学は、神学校の関係者、とくにイランイスラム共和国の創始者ホメイニー師の尽力により、1400年以上のイスラム法学者たちの努力を受け継ぐものとなり、イスラム学を習得しようとする学生たちの注目を集めています。この大学の目的は、イスラム学、人間学の普及であり、世界中から多くの志願者を受け入れています。

アルモスタファー大学

 

アルモスタファー大学はテヘラン南部の聖地ゴムにあります。この大学は、国内外に170以上の関連の教育、研究施設を有しています。イラン国内の教育施設は、マシュハド、テヘラン、イスファハーン、ゴルガーン、ゲシュムにあります。

アルモスタファー大学はテヘラン南部の聖地ゴムにあります。

 

イラン国外では、日本、南アフリカ、ドイツ、インドネシア、イギリス、ブラジル、タンザニア、タイ、デンマーク、スウェーデン、イラク、フィリピン、レバノン、マレーシア、ミャンマー、ノルウェー、ナイジェリア、インドなど世界60か国以上にあります。

アルモスタファー大学

 

学生が多国籍であること、支部や研究機関が世界各国にあることは、アルモスタファー大学を、世界でも優れた学術、文化機関にしています。この大学は、国際的な学術・文化機関に多く加盟しており、他の大学や世界の学術機関とも幅広い関係を確立しています。その教育システムも、世界基準を満たしています。

アルモスタファー大学

 

アルモスタファー大学では、これまで世界122か国から5万人以上の神学生が学び、2万5千人が学業を終えて自国に戻っています。

アルモスタファー大学

 

アルモスタファー大学では、イスラム法学、法学原理、コーラン、ハディース、哲学、神秘主義、道徳、イスラム神学、イスラム史が教えられています。人文学の分野でも、教育学、法学、心理学、経済学、社会学、政治学、金融学、通信、経営、言語、文学がイスラムのアプローチから教えられています。

アルモスタファー大学

 

イラン国内のアルモスタファー大学では授業の中で使われている言語は、ペルシャ語とアラビア語で、学生は1年間、最新の教育方法によりそれを習得します。国外でも教授言語はその国の公式言語に沿ったものとなっています。筆記試験と面接を通過したこの大学の入学者は、長期、短期コースのどちらかで、通学制、あるいは通信制で学びます。

アルモスタファー大学

 

アルモスタファー大学は、世界の学術・文化機関との関係を拡大するため、国内外の専門家や地域の委員会を利用したり、外国から客員を招いたりしています。これにより、世界の1000以上の学術・文化機関、1500人の学者や文化人と関係を築いており、国内外の110の大学や学術機関と協力文書を締結しています。

 

これまで、世界のおよそ100か国から2万5千人以上の学生がアルモスタファー大学でイスラム学や人間学の様々な知識を習得し、自国に戻り、世界の学術・文化機関で教育・研究活動に従事しています。

アルモスタファー大学

 

アルモスタファー大学は、外国人の神学生に、勉強のための適切な環境を整えているほか、ビザや学費、住宅、医療面でのサービス、教育カウンセリング、また家族への教育支援も行っています。

アルモスタファー大学

 

パキスタン出身のユーシャ・ザファル・ハイヤーティさんはこの大学の学生の一人です。彼はおよそ10年前にゴムにやってきました。ペルシャ語を学んだ後、神学校の初等科に入り、宗教学の勉強を始めました。彼は学士でシーア派学を、その後修士に進み、預言者一門の問題を専門に学びました。彼は現在、テヘランに移り、コーラン解釈をこの大学の通信教育で学んでいます。

 

ハイヤーティさんは、イランを選んだ理由について、このように語っています。「現代においてイランは宗教学の中心であり、イマームバーゲルからイマームサーデグの間に発展した一連の学問は、12代目イマームが隠れた後、イランで急速に発展した。スンニ派の書物やアラビア語の文学の編纂者の多くはイラン人のイスラム法学者であり、イランはシーア派の文化と宗教の中心になっている」。また彼は、「アルモスタファー大学は、イスラム学、人間学、社会学の拡大を目的に、教育的なアプローチによって活動を行っており、この学問の習得に関心のある神学生の多くを引き付けている」と述べています。