6月 25, 2017 17:31 Asia/Tokyo
  • 預言者オザイル
    預言者オザイル

復活、それは、コーランの中にある重要な問題の一つであり、神はそれを証明するために、生きた証人を提示しています。聖典コーランは、人間がどのように蘇らされるのか、そのことについて、具体的な物語やたとえをいくつも挙げています。

それらを詳しく見れば、唯一の創造主である神の偉大な意志と措置を理解することができるでしょう。今回は、昔々の預言者オザイルのお話です。

 

オザイルは、食べ物と飲み物を用意してロバにまたがると、目的地に向けて出発しました。緑豊かな庭園に着いたとき、彼は美しい木々や心地よい鳥たちのさえずりに魅了されました。オザイルが我に返ったときには、すでに昼近くになっていました。そこで、大急ぎでかご一杯に果物を摘み取り、来た道を引き返しました。オザイルは、創造の神秘や周囲の美しさに気をとられていたため、乗っていたロバが道を間違っていることに気づいていませんでした。

 

オザイルは少ししてから、廃墟に迷い込んだことに気づきました。そこでロバの背中から降りると、少し周囲を見渡してつぶやきました。

「ここはきっと村だったのだろう。かつては人が住んでいたようだ。だが今は、家々は廃墟となり、天井が崩れ落ちている。どれ、この崩れた壁の横で一休みさせてもらうことにしよう。そして、元気が戻ったら、再び出発することにしよう」

 

オザイルは、腰を下ろして壁に寄りかかりました。足を伸ばし、木の杖を傍らに置きました。オザイルのロバも、彼と向かい合った位置で体を休めています。完全な静寂と、優しいそよ風が、オザイルの気持ちを和ませ、彼は再び、創造世界と人間について、考えを巡らせ始めました。オザイルはつぶやきました。

「今、私が壊れた壁に寄りかかっているこの家で、その昔、互いに仲間だったり、敵同士だったりした人間たちが生活を営んでいたのだ。だが今は、彼らの骨すらも残っていない。この廃墟の人々が、再び集められて生きた存在として蘇るなどということがどうしたら可能なのだろうか?」 

オザイルはそのように考えながら、少しずつ深い眠りに落ちていきました。

 

百年が過ぎました。子供たちは年老いて世代が変わりました。神の意志により、オザイルのばらばらになった骨が組み立てられ、そこに再び魂が吹き込まれました。オザイルは力強い完全な体になって立ち上がりました。彼は深い眠りから目が覚めたのだと思っていました。ふと空腹を感じ、食べるものと水を探し求めようとしました。そのとき突然、彼のもとに天使が降り立ち、こう尋ねたのです。

 

「あなたは自分がどのくらいの間、眠っていたのだと思いますか?」 

 

オザイルは答えました。

「1日か、それよりも短い間でしょうか」

天使は言いました。

 

「いいえ、あなたは100年の間、ここにいました。今、自分が持っていた食べ物と飲み物を見てごらんなさい。神のご意志により、それらは全く変化していません。でも、あなたが乗っていたロバはどうでしょう。ごらんなさい。死がどのようにしてそれを滅ぼしたかを」

 

オザイルは驚いてロバの方に眼をやりました。確かに、その体はまるで死んでから何年も経ったかのように朽ち果てていました。その時です。ロバが立ち上がり、そこには、生の痕跡が明らかに感じられたのです。

 

「今、私は神が全能であられることを知りました」 

 

オザイルは思わず、神の前にひれ伏して、そのような言葉を口にしました。

 

町は完全に姿を変えていました。人々の顔も、身に着けている物も、建物や路地もすべてが変化していました。オザイルはようやく自分が住んでいた家を見つけてその扉を叩きました。すると、髪の毛が真っ白な、目の見えない老婆が出てきました。オザイルは尋ねました。

「ここはオザイルの家ですか?」 

老婆はオザイルの名前を聞き、目から涙を流しました。そして悲しみに満ちた深いため息をついて、言いました。

「確かにここはオザイルの家です。でも彼はもう何年も前にこの世を去りました」

 

オザイルは言いました。

「私がそのオザイルです。神は私を100年の間、この世から去らせ、その後再び、この世に引き戻されたのです」 

老婆は信じられない様子で言いました。

「オザイルは本当に良い人間でした。彼の祈りはいつも聞き届けられていました。もしあなたの言うことが本当であるのなら、祈ってください。私があの頃のように若返り、あなたの姿を見ることができるように」

 

オザイルは一心に神に祈りました。すると、突然、老婆は生気に溢れた昔の若い姿に戻りました。こうして、オザイルの周囲の人たちは、復活を信じるようになりました。そして、唯一の神は全能であること、そして、来世とは神の意志によって再び蘇らされる人々の行いが清算されるときであることを知ったのです。

 

オザイルの物語は、コーラン第9章アッタウバ章悔悟の第30節と、第2章アルバガラ章雌牛の第259節に登場します。

                        

 

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