2月 02, 2018 01:59 Asia/Tokyo

●北川アナウンサーによるイラン音楽のコーナー ●インタビューコーナー ゲスト;国際交流基金派遣日本語教育専門家 須藤展啓(のぶひろ)さん(3回目) 聞き手;中村美香アナウンサー

(山口)さて、暦の上ではもうすぐ立春なわけでして、冬に別れを告げて春の季節に入ることになっていますが、テヘランはまだまだ寒いですよね。そして、立春の翌日が節分で、日本ですと「鬼は外、福は内」の豆まきのイベントが浮かびますが、この時期のイランでの風物詩やイベントといえば、何が思い浮かびますか?

(芝田)2月のイランのイベントと言えば、革命記念日くらいしか思い浮かびません。

(山口)そうですね。イランではもうすぐイランの革命記念日ですよね。確かこれは、西暦の2月11日に当たると思いますが、実は、この日は日本でも建国記念の日になっていまして、まさに偶然の一致ではないでしょうか。因みに、2月11日は日本神話の登場人物であり古事記や日本書紀で初代天皇とされる神武天皇の即位日だそうです。そして、この日は日本書紀では紀元前660年1月1日 (旧暦)とあり、明治時代に入ってからその即位月日を西暦に換算して、2月11日に決まったということです。しばらく日本の歴史から遠ざかっていまして、このようなところで古事記や日本書紀という名前に触れるだけでも、ノスタルジアを感じます(笑)。

リスナーより

「このたび、テヘランで発生した地震には驚きました。IRIBラジオ日本語の皆様は大丈夫だったのでしょうか。揺れはかなり大きく感じられましたか?幸い、被害は大きくなかったようなので胸を撫で下ろしています。天災はいつ何時、起こるかわかりませんね」

「テヘラン市でも、M5クラスの地震があったとのこと。地震多発国は、日本も含めて日ごろからの対策の重要性を感じます」

●ラジオより

(山口)K・Oさん、K・Nさん、いつもお便りありがとうございます。昨年11月にイラン西部のケルマーンシャー州で発生した地震は大きかったですよね。規模としては確か、1995年に発生した阪神淡路大震災ぐらいに相当すると思います。その翌月には、テヘランでも体に感じる地震が観測されまして、そのとき私は自宅にいたのですが、戸棚などがカタカタ揺れるのをはっきりと感じました。日本で言えば、震度2の軽震か、せいぜい震度3の弱震ぐらいだったでしょうか。あの時は夜中にもかかわらず、通りに沢山の人が繰り出してきたのに大変驚きました。いずれにしても、日本でなら、「あ、ガスを消して」というくらいで、それほど騒ぐほどのことではなかったと思うのですが、いかがでしょうか。

(芝田)本当ですよね。私も一瞬建物は揺れたけれども、地震だったとは思いませんでした。ただ、私の家では停電になったので、あれ、何だったんだろうとは思いました。その後に近所の人が騒ぎ出して、イラン人の友人からも心配するメッセージが来たりして、それでちょっと不安になった程度です。まあテヘランの人は地震に慣れていないのでしょうがないのかな。。。とも思いましたけれど。でも停電になったので、テレビなどで情報を得ることができなかったのはちょっと困りました。

(山口)あらら、それは大変でしたね。丁度そのときに停電でしたか。イランも火山が多いせいか、地震多発国ですよね。実は、後になって知ったのですが、テヘラン市の周辺には何本もの活断層が走っているそうで、近いうちにM8クラスの地震の発生が予測されているそうです。それから、日本も、1923年の関東大震災を最後に、東京都その近辺は大地震の震源地になっていないことから、そろそろ関東地方を震源とする大地震が起きる可能性があるといわれています。まさに、天災は忘れたころにやってくる、といわれますし、今回の地震で、世界中どこにいても、万が一の備えをしっかりしなくてはいけないと感じさせられました。

リスナーより

「2017年の地震でなくなられた方々に謹んでお悔やみを申し上げます」

ラジオより

(山口)K・Tさん、有難うございました。こうした皆様からのメッセージを、しっかりとイランの人々に伝えていきたいと思います。そして、被災地の1日も早い復興再建をお祈りしたいと思います。

リスナーより

「金曜広場のお便りで、ざくろについて聴きましたので、少し調べてみました。原産地は、イラン、アフガニスタン地域とのこと。種が多いことから豊穣のシンボルになっているそうで、これを食べると子宝に恵まれるといわれているとのこと。子供のころ、食べたとは思いますが、以後口にしていません。近年は健康食品として注目されているとか。今度また食べてみたくなりました」

ラジオより

(山口)Y・Iさん、お便り有難うございます。イランは世界でも有数のざくろの生産国で、特に中部マルキャズィ州の町サーヴェが、ざくろの生産地として知られています。私はそのまま食べるよりも、ジュースになったものが好きなのですが、イランではほかにも、ざくろが調理に使われていることもありますよね。芝田さんは、ざくろをどんな風に食べるのが好きですか?

(芝田)私はせっかくイランに住んでいるというのに、ザクロはあまり食べません。むくのが大変だということもありますし、あとちょっとすっぱいですよね。ザクロは本当に開けると赤い宝石というか、ルビーみたいできれいですよね。美容にいいということなので、ぜひ積極的に食べたいところなんですが。。。

(山口)確かに、そのまま食べるときは、割って中の粒粒を取り出して、というのが少々面倒ですよね。ですが、イランは、ざくろに加えて、ほかにも色々な果物が豊富に出回っています。ここのところ、オレンジやリームーシリンと呼ばれる、グレープフルーツに似た果物が盛んに販売されています。私はこうしたかんきつ類を搾ってジュースにして飲んでいます。これからも、番組内でイランの美味しい料理や果物などを折りに触れてご紹介してまいりますので、ぜひご期待ください。

リスナーより

「イランでは、外国語の習得でアラビア語とトルコ語ではどちらが人気が高いですか?教えてください」

ラジオより

(山口)F・Yさん、お便り有難うございます。イラン人にとって、アラビア語とトルコ語は近隣国の言葉ですよね。日本人にとっての中国語や韓国語のようなものでしょうか。何しろペルシャ語で使われている語彙の過半数がアラビア語を元祖とするという話を聴いたことがあります。また、イランの学校教育では、中学と高校で6年間、コーランとアラビア語が必修科目に含まれ、皆さんみっちりやっているわけですよね。トルコ語にしても、特にアーザリー語と呼ばれるトルコ語は、イラン国内でも母語とする人が沢山いますし、お隣のトルコに気軽に旅行に行くこともできるわけです。そのため、結構日常的にイラン人は身近に触れていることですし、あえて特殊な外国語とは考えられてはいないようですが、いかがでしょうか?

(芝田)その辺の考え方は、島国で暮らす日本人とはちょっと異なるかもしれませんね。アラビア語はペルシャ語の語彙の半分も占めているんですね。確かに多いとは思っていましたが、でもアラブ人が話すアラビア語と、イラン人が話すアラビア語の発音は、音のイメージがずいぶん異なるように感じます。それは私の耳が単にイラン人というかペルシャ語の発音に慣れているからだけでしょうか。。。

(山口)というよりも、イラン人はアラビア語の単語をそのままペルシャ語式に発音しているからではないでしょうか。実際に、アラビア語にあってペルシャ語にない音を、ペルシャ語読みでそのまま呼んでいるのを聞いたことがあります。でも、あれでは、実際のアラビア語の雰囲気が出なくなってしまうと思います。ところで、私が感じるところでは、イラン人は日本人よりも外国語の習得に優れていると申しますか、積極的に外国人に話しかけるという気質を持っているような気がします。ただ、日本語を学ぶイラン人からは、漢字が難しい、正しいアクセントで発音できないといった声がよく聴かれます。その一方で、聴くところによりますと、ペルシャ語には世界で話されている言語に必要とされるすべての音素が含まれているとか。だからこそ、読み書きはともかく、外国語の会話を習得する上で、ペルシャ語を母語とすることは強みなのかもしれませんね。